4月23日のセリエA第34節、優勝争いとトップ4争いを左右する2位と5位の上位対決であり、2月8日のコッパ・イタリア準々決勝に続く「英雄」モウリーニョの古巣凱旋マッチとなった一戦は、シモーネ・インザーギ率いるホームチームに軍配が上がった。リーグ12戦無敗(7勝5分)だった難敵ローマをも退け、4連勝で1試合消化の多い首位ミランとの2ポイント差を維持。インテルが2連覇に向けて前進した90分を、“3冠世代インテリスタ”の白面(@Hakumen9b)さんが振り返る。
結論から先に言うと、ジョゼ・モウリーニョ率いるローマは、明らかに強くなっていた。
昨年12月の対戦後に感じた不安は、いい意味で裏切られた。彼に感情を揺さぶられ、生き方に少なからず影響を与えられた人間としては、強い感動と安堵を抱いている。
破れてなおポジティブな印象を残す強敵相手に勝ち切れたことは、インテルにとってもラストスパートに向け、得られるものが多い試合だったと言える。
先の先を取ったインテル、後の先を取り切れなかったローマ
試合を簡単に振り返ってみよう。
前半戦のリーグ対決や2月のコッパ・イタリア対決に比べ、この日のローマは立ち上がりから積極的にプレスをかけ、高い位置からのカウンターを試みていたように見える。一方のインテルは、ここ最近のローマの戦いぶりから、そうした展開を十分に予想していたことが伝わる“大人”の対応を披露。先の先を取る形で巧みにプレスを掻い潜り、ボールを保持する展開となった。
出色の出来だったのが、負傷の影響もあってベンチスタートを余儀なくされたバストーニに代わって、3バックの一角を任されたフェデリコ・ディマルコだ。64分に退くまで、終始安定したプレーを披露していた。ペッレグリーニやムヒタリアンのプレスをいなしながら、適切なタイミングでブロゾビッチ、チャルハノールらが待つ中盤へパスを供給。エイブラハムがデ・フライや最終ラインに下がってきたブロゾビッチにプレスをかける場面では、しっかりとボールの逃げ道を確保。ローマのロングカウンター時には勤勉に相手を追走し、前半ほとんどシュートチャンスを作らせなかった。平時はベンチスタートであることが多い選手がこれだけ戦えるのだから、最近のインテルの充実ぶりがうかがえる。
ひるがえってローマは、クリスタンテやザニオーロの不在もあってか、いま一歩チームが噛み合わない状態が続く。1トップのエイブラハムはデ・フライとのマッチアップに完敗し、なかなか深みを作り出すことができない。ペッレグリーニとエル・シャラウィが前から突っかけようにも、先述のディマルコやブロゾビッチを捉え切れず、後の先でカウンターを仕掛けるゲームプランは頓挫した。結果、試合はインテルが優勢を保ちながら進んでいくが、28分にFKからジャンルカ・マンチーニが放ったヘディングは、ゴールの可能性を十分に感じさせるものだった。あるいはこの一撃が決まっていれば、試合はまた異なる展開を見せていたかもしれない。……
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白面
集団心理とか、意思決定のノウハウ研究とかしています。昔はコミケで「長友志」とか出してました。インテルの長所も短所も愛でて13年、今のノルマは家探しです。