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W杯の組み合わせが決定。ブラジル代表チッチ監督が語ったこと

2022.04.05

 4月1日、2022年ワールドカップカタール大会の組み合わせ抽選会が行われ、ブラジルからはチッチ監督やコーディネーターのジュニーニョ・パウリスタらが出席した。

 抽選の結果、ブラジルはG組で、11月24日セルビア、28日スイス、12月2日カメルーンの順に対戦することが決まり、国内メディアでは対戦相手の分析はもちろん、優勝までの勝ち上がりの予想などで盛り上がっている。

 初戦が大会4日目で、準備の時間が少しでも多く取れることがブラジルにとっては有利であることも含め、結果は概ね好評だ。

ロシア大会と似た組み合わせ

 チッチは組み合わせが決まった直後の最初の感想を「死の組は存在しないが、生の組も存在しない」と表現した。

 ブラジルは偶然、2018年ロシア大会でも、今回のG組の2チームと同組だった。スイスには1-1で引き分け、セルビアに2-0で勝っている。やはり2-0で勝ったコスタリカのみが、今回カメルーンと入れ替わった状況だ。ロシアで決勝トーナメントに勝ち上がったのは、グループ1位のブラジルと、2位のスイスだった。

 「目新しい相手ではないが、W杯が我われにもたらすのは難易度の高さ。我われが第一に考えるべきは、もちろんブラジル代表そのものの準備だ」

 そう語るチッチは、危険な相手を聞かれるとこう答えた。

 「成績を見ると、ヨーロッパ予選のグループステージでセルビアがポルトガルを、スイスがイタリアを上回って突破を決めたことは注目に値する。そしてもちろん、カメルーンはアフリカの強豪だ。スイスvsイタリア戦を見たが、非常にレベルの高い試合だった。それはつまり、我われにもさらに高いレベルが要求されるということだ。どこも対等だよ」

チッチ監督(左)は「死の組は存在しないが、生の組も存在しない」と語った(Photo: CBF)

3カ国それぞれの反応は?

 チッチが「対戦相手についてはまだ深く話せるほどわかっていない」と語る一方で、この抽選会に同行したアシスタントコーチのクレーベル・シャビエーは、その相手3カ国の状況をスラスラと説明するなど、どの相手についてもすでに分析が進んでいることをうかがわせた。

 初戦セルビアの指揮官は、日本のサッカーファンには懐かしい、元名古屋グランパスの選手であり、監督も務めたドラガン・ストイコビッチだ。会場でのブラジルメディアへのインタビューにも笑顔で応じ、彼らしい前向きな言葉を語っていた。

 「人々がサッカーについて話す時、まず考えるのはブラジルのこと。僕はブラジル代表をとても尊重している。いつでも優勝候補だ。非常に難しい組であり、僕らにとってブラジル戦は挑戦者として臨む一戦となる。でも、僕は強いチームと対戦するのが好きなんだ。良い戦いをし、その結果がどうなるか見てみよう」

 スイスはやはり対戦相手2カ国が2018年と同じであることに対して、サッカー協会がその公式SNSに「バック・トゥー・ザ・フューチャー?」と、ユーモアを交えて投稿していたことがブラジルで話題になった。

 代表のムラト・ヤキン監督が「良いチーム、良い選手たちに対する素晴らしい挑戦だ。だが、ブラジルとセルビアのことは前大会から分かっている。簡単にやらせるつもりはない。この抽選の結果には満足しているよ」と、強気の感想を語ったことで、さらに話題となった。

 カメルーンは今年、自国開催のアフリカ・ネーションズカップで3位に終わったことが主な理由で、前任監督のトニ・コンセイソンが解雇され、選手として同代表最多出場を誇る英雄リゴベール・ソングが3月1日に就任したばかり。

 ブラジルは2014年W杯で4-1と快勝し、チッチの代表としては2018年の親善試合で1-0と勝利しているが、現時点では未知数だ。

「良いスタートを切らねばならない」

 ブラジルは、2016年6月にチッチが急きょ監督に就任した2年後に2018年W杯ロシア大会を戦った。そこでまさかの準々決勝敗退に終わったものの、気の短いブラジルサッカーにおいては珍しくチッチ体制の継続が決まり、カタール大会まで突き進んできたことは現在、国内でも評価されている。

 南米予選で6試合を残して突破を決め、5年ぶりのFIFAランキング1位を奪回した現在の好調は、長期的なビジョンでチーム作りを進めてきたことが、奏功していると言われている。

 また、監督以下スタッフがすでにW杯を1回経験していることも重要な要素だ。抽選会後のインタビューでは終始穏やかな笑顔を見せていたチッチだが、その1度目の経験を踏まえてこう語っている。

 「我われは前回、初戦で引き分けたことで非常に大きなプレッシャーを背負った。(決勝トーナメント1回戦で)メキシコに勝った後に少し落ち着くことができたが、良いスタートを切らねばならないという教訓を得た。良いスタートを切り、なおかつ大会の中で成長し、そのパフォーマンスのレベルを上げていくことが重要になる。対戦相手のレベルだって上がっていくんだから」

 抽選会後は、チッチとスタッフによるベースキャンプ地の再訪問と、グループリーグの舞台となるスタジアムの視察が行われた。続いてイングランドでUEFAチャンピオンズリーグの試合を視察するなど、W杯への準備が続いていく。

抽選会後、ジュニーニョ・パウリスタ(左)らがベースキャンプ地を再訪した(Photo: CBF)


Photos: Lucas Figueiredo/CBF, CFB

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Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。

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