1月の公式戦は5試合未勝利。5試合での得点はたったの2。12月の好調が嘘のように年明けからのアーセナルは苦しんでいた。毎試合のように退場者を出し、「得点よりも退場者の方が多い」と揶揄されたりもする。だが2月に入り、リーグ戦は4連勝。再び風向きは変わった。1月に苦しんだアーセナルはなぜ2月に復活したのか。その理由を考えたい。
理由①レギュラーメンバーの復帰
復活の要因を考える前に、そもそも1月になぜ結果が出なかったのか?の話をしたい。今季ここまでのアーセナルは欧州カップ戦の出場権がないことを逆手に取り、日程に余裕があることでメンバーを極端に固定しながら戦ってきた。年末の好調の要因はこのメンバー固定によってチームがようやく熟成された結果である。
だが、1月になりチームはメンバーを固定することができなくなる。理由の1つはアフリカ・ネーションズカップの開催による主力の離脱である。特に大きかったのはもはやチームに欠かせない存在となったトーマス・パーティ。代役として、FAカップで出場機会を得たアルベール・サンビ・ロコンガは、ノッティンガム・フォレストのタイトなマークに苦しみ、攻守に存在感を発揮することができず。そのまま敗れてしまったチームはトーマス不在の穴を感じることになった。
この段階では構想外になっていたピエール・エメリク・オーバメヤンはともかく、ニコラ・ペペやモハメド・エルネニーといったベンチに厚みをもたらす2人が不在になったことも少数精鋭で戦ってきたアーセナルにとっては苦しかった。
それに追い打ちをかけたのがコロナウイルスの感染拡大、そして度重なる退場者による出場停止選手である。特にトーマスのパートナーであるグラニト・ジャカのリバプール戦での退場は手痛いものだった。
アルテタの作り上げたチームはまだ若い。今季に関してもシーズン序盤から固定メンバーで組み上げたチームがようやく12月になってある程度形になった。であれば、少人数で時間をかけて築き上げた完成度が選手の離脱によって低下してしまうのは必然と言えるだろう。
2月の成績の上昇はあらゆる事情でチームから離れていたメンバーがようやく復帰したことが最も大きな要因だろう。
理由②右サイドのユニットの強化
離脱者が復帰して元の水準に戻っただけでなく、今のアーセナルにはきちんと成長を示している部分がある。その代表格と言えるのが右サイドの面々の躍進である。
最も印象的な働きを見せているのはブカヨ・サカ。ウナイ・エメリ期にSBとして抜擢をされて以来、どちらのサイドのどこで使うのか? そして誰と組ませるのか? という部分がなかなか定まらなかったサカ。だが、今季は中盤戦から右サイドに固定されてようやく起用法が定まってきた印象である。……
Profile
せこ
野球部だった高校時代の2006年、ドイツW杯をきっかけにサッカーにハマる。たまたま目についたアンリがきっかけでそのままアーセナルファンに。その後、川崎フロンターレサポーターの友人の誘いがきっかけで、2012年前後からJリーグも見るように。2018年より趣味でアーセナル、川崎フロンターレを中心にJリーグと欧州サッカーのマッチレビューを書く。サッカーと同じくらい乃木坂46を愛している。