2022アフリカ・ネーションズカップで悲願の大会初制覇を遂げたセネガル代表。そのメンバー28人のうち、大会MVPに輝いたサディオ・マネを筆頭に主将カリドゥ・クリバリ、イスマイラ・サール、ブナ・サールという決勝に先発した4人を含む6人が、フランス・リーグ1のメスが輩出した選手だった。なぜ、フランスの中堅クラブにセネガルの有望な人材が集まるのか。そこには、メスが確立した独自の選手発掘ルートの存在があった。
『フットボリスタ第87号』より掲載
昨季リーグ1で10位のメスは、2003年からセネガルのクラブ、ジェネラシオン・フット(Génération Foot)と提携している。ジェネラシオンは、フランスのブレストなどでプレーしたギニア人のマディ・トゥーレが2000年に首都ダカールに開設したフットボール・アカデミーで、その後クラブチームとしてセネガルリーグに参戦するようになり、3部からスタートして2016-17シーズンには1部リーグ初優勝。現在は国内トップクラブの一角をなしている。
メスとの提携は、同氏がフランスのクラブに「セネガルの将来有望な若手選手に興味はないか」と売り込みに来たことから始まった。メスも試しに何人かを練習に参加させたところ、当初はあまり手ごたえがなかったが、根気良く続けるうちに1人がプロチームに昇格。その選手が他クラブから引き抜かれたことで可能性を感じ、本格的な提携関係がスタートした。……
Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。