いよいよ開幕が1週間後に迫った2022シーズンのJリーグ。今季も様々な見どころがある中から今回は、近年華々しい活躍をする選手が次々と出てくる大卒ルーキーに注目。竹中玲央奈氏に5選手を選出し紹介してもらった。
Jリーグにおける大卒ルーキーの躍進が止まらない。特に、東京五輪世代前後の学年でそれが顕著である。
五輪に出場し川崎フロンターレから欧州へ渡って活躍する三笘薫や旗手怜央を筆頭に、ベルギー移籍を果たした坂元達裕(C大阪→KVオーステンデ)や渡辺剛(FC東京→コルトレイク)も大卒でプロ入りを果たした選手だ。
近年の天皇杯で、J1クラブに黒星をつけるケースが見られることからわかるように大学勢の競技レベルは高く、“プロを目指す最後の舞台”として強い覚悟を持って足を踏み入れる選手たちが数多くいる。高校やJユースで全国を経験した面々の中でも上位の層がひしめいており、フィジカル面でも20歳ごろに成熟期を迎える選手が多く、文字通り高校時代と比べて“一回り”大きくなる。
そんな大学サッカーでしのぎを削り試合経験を重ねて力をつける選手たちを、多くのJクラブが獲得に乗り出している。「高卒で戦力になるのは簡単ではない。即戦力を考えると、大卒選手優先になる」とあるクラブのスカウトは言っていた。
今年も多くの大卒ルーキーがJリーグ入りを果たした。その中から、冒頭に紹介した選手たちのように飛躍していく選手もいるだろう。今回は、そんな可能性を秘める大卒ルーキーの注目選手を5人紹介したい。
サンフレッチェ広島 満田誠(流通経済大)
12年ぶりに関東大学サッカーリーグ1部制覇を果たした流通経済大の主将。広島ユース時代から前への推進力、ゴール前での決定力、左右どちらの足でも蹴れる高いシュートセンスを併せ持ち、存在感は際立っていた。高校3年次に叶わなかったトップチーム昇格を4年越しに果たした満田にとって、大きかったのは大学3年次の曺貴裁(現京都サンガ監督)との出会いだ。
「誠はアスリートとしての能力が高い」とそのポテンシャルに目をつけた曺監督は、[4-3-3]の右ウイング(WG)やシャドーの位置で中心選手として起用し続けた。
「曺さんはいつも『試合ではなくて練習を大事にしろ』と言っていて、結果も大事だけどそれまでのプロセスが一番大事だと。それもあって練習中からみんなで激しく、最後の詰める部分や決める部分にこだわってやっていけています」
曺監督の指導を受けた満田はゴール前に何度も顔を出すようになり、奪われたらすぐ切り替えて奪い返しに行くように。J屈指の名将が見出した逸材は、90分間攻守で圧倒する比類のない選手となった。……
Profile
竹中 玲央奈
“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。