インテルからサンプドリアにレンタルで移籍したMFステファーノ・センシが、移籍後初戦となったホームのサッスオーロ戦でゴールを決めた。1-0で迎えた7分、マノロ・ガッビアディーニのシュートを相手GKアンドレア・コンシーリがキャッチしきれず、そのこぼれ球に反応してシュートを押し込んだ。試合は4-0で大勝し、チームにとっても本拠地ルイジ・フェラーリスで奪った2カ月ぶりの勝利となった。
トップ下で攻守に貢献
試合後、センシはクラブの公式HPで「シュートのこぼれ球が目の前にきた時にはもう何も考えていなかった。セリエAでの自分の最後のゴールもこのスタジアムだったし、運命を感じる」と振り返った。
前半戦は故障の影響で出遅れ、インテルであまり出場機会を得られなかった彼には、サンプドリアへのレンタル移籍の話が持ち上がった。しかし1月19日に行われたコッパ・イタリアのエンポリ戦で途中出場からゴールを決め、シモーネ・インザーギ監督は「ここまで出場機会は得られなかったが自分は重要視している。選択をするのは彼だが、インテルのユニフォームを着る限りは大事に考える」と慰留に乗り出す意向も示していた。
ただ結局、センシは出場機会の増加を選択し、サンプドリアへの期限付き移籍を決断した。
サンプドリアでは、マルコ・ジャンパオロ監督の意向を受けて[4-3-1-2]のトップ下としてプレー。守備時には深く戻ってボールの回収に手を貸しつつ、奪ったボールは縦横のスペースに素早く展開し、自らも積極的にエリア内へと飛び出していった。攻撃の組み立て役の不在と、ゴール前での攻撃の薄さというチームの二つの課題をクリアし、クラブの動画には「やっとまともにサッカーができる選手が来てくれた」などの好意的なコメントがついていた。
チャンスを生かせなかった選手も
この日はユベントスvsエラス・ベローナ戦で、ユーベに移籍したFWドゥシャン・ブラホビッチとMFデニス・ザカリアもそろってゴール。移籍後に幸先良く結果を出した選手も複数いた一方、残念ながらそうならなかった選手もいた。センシと同じくサンプドリアに移籍した、元U-20ウクライナ代表のFWブラディスラフ・スプリアハだ。
サッスオーロ戦ではマノロ・ガッビアディーニの故障により急きょ36分から投入されたが、試合の流れに乗り切れず、ジャンパオロ監督は交代を決断。わずか22分間のプレーでベンチへと下げた。
試合後、ジャンパオロ監督は「まずは私のことを理解してもらわないといけない。通訳を見つける必要がある。20歳の選手が試合で交代させられるのは、特に問題ではないことはわかってほしい」と地元メディアに語っていた。
なお、サンプドリアはガッビアディーニの故障が長期に及ぶと危惧しており、衛生テレビ局『スカイスポーツ』は「現在フリーになっているセバスティアン・ジョビンコの獲得に動く」と報じた。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。