2月5日のミラノダービーを前に、サン・シーロの芝生が急きょ張り替えられた。
最低気温が氷点下を下回って芝生の根付きが悪くなる気候と、試合数が非常に多くなった影響でグラウンドの状態が著しく悪くなり、クラブの選手やスタッフから苦情が出ていた。また、ミランではフィカヨ・トモリにズラタン・イブラヒモビッチ、インテルではホアキン・コレアなどの故障者が続出し、劣悪なピッチ状態との因果関係も疑われていた。
中断期間中に整備完了
インテルのシモーネ・インザーギ監督は「サン・シーロのグラウンドでプレーすることが非常に難しくなっている。言い訳ではなく、もう20日間に渡ってちゃんとプレーできない状態になっている」と発言。ミランのステファノ・ピオーリ監督は「故障はグラウンドのせいだとは思わない」としながらも「コンディションは決して良いものではない。リーグ戦が中断されている間になんとかしてほしい」と懇願した。
また、対戦相手からも芝生の状態を憂うコメントが相次ぎ、ユベントスの主将ジョルジョ・キエッリーニは「良くなってほしい。サン・シーロはイタリアで一番良いスタジアムなのだから、それに見合った芝生が用意されるべきだ」と訴えていた。
一連の懇願を受けて、サン・シーロを管理運営するミラノ市はリーグの中断期間中に芝生の張り替え作業を実施した。天然芝部分の張り替えは1月29日と30日の間に完了し、補強繊維と結びつける作業も2月3日の夜までには済ませ、4日にすべての整備を終わらせるという。
試合数の多さが状態悪化の原因
保全作業を監修する農業化学者のジョバンニ・カステッリ氏は、ミラノの地元ラジオ局『ラディオ・ロッソネーラ』のインタビューに答えて「作業内容に対してこの中断期間はあまりにも短いものだったが、なんとか終わらせる」と語った。
一方、芝生の状態が悪化したことについては試合数の多さを原因として挙げ、「8月の終わりからここまで44試合が実施されたが、こんなところは世界のどこにもない。さらに1月には24時間から48時間の間隔で試合が実施されたこともあり、芝生を休めて保全作業をする時間もなかった」と語った。1月にはスーペルコッパの開催に加え、リーグ戦では日程調整の理由でインテルとミランのホーム開催が重なり、2日連続で試合が開催される事態にもなっていた。
また、カステッリ氏は故障の因果関係については「生体力学に影響するグラウンドの硬さなどはUEFA(欧州サッカー連盟)の規定に沿って常に検査している。芝生がはげていることで影響は及ぼさない」と否定していた。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。