ユベントスのイタリア代表MFフェデリコ・キエーザが左膝を負傷し、検査の結果、左膝前十字靭帯の断裂が判明。完治まで約6~7カ月間かかると見込まれ、今季のリーグ戦残り試合はもちろん、3月に行われるカタールW杯欧州予選プレーオフを含む公式戦出場が絶望となった。
サッカー界が一斉に反応
キエーザは1月9日のローマ戦で左膝を痛め、プレーを続行できずに交代。スタジアムから自力で歩行できず、重大なケガではないかという懸念がなされていた。そして翌日、クラブ所有のメディカルセンター「Jメディカル」で検査を施された結果、靭帯の断裂が判明した。再建手術については数日以内に決断がなされる模様だ。
ユベントスが公式にキエーザの故障を明らかにすると、サッカー界は一斉に反応。インテルやミラン、ナポリやローマなどライバルクラブの公式SNSアカウントも、一斉に見舞いのメッセージを掲げた。
イタリア代表のロベルト・マンチーニ監督は自身の公式ツイッターで「サッカー選手のキャリアに故障はつきもので、それは我われも夏に目撃したはず」とEURO2020でレオナルド・スピナッツォーラが故障した時のエピソードを想起させることを述べた上で「しかし違いを作るのは立ち上がる意欲で、君はそれをよそに売るほど持っているはず」と励ました。
また、当然選手も反応。代表でもチームメイトのレオナルド・ボヌッチは公式インスタグラム上で「みんなが『君とともにいる』と声を掛けるだろうけど、俺はあえて『お前次第だ』と言う。道は二つ。一つは言わないが、もう一つは選手としても人間としても良くなるように努力する道だ」と激励した。
主将のジョルジョ・キエッリーニは1月11日の記者会見で地元メディアに対し「フェデリコとは故障後すぐに話した。重大なケガだということはその時に認識していた」と明かし、「もっと大変なのは復帰してからで、自分の体の変化に対応していくのは簡単なことではない」とアドバイスを送った。
復帰は来季開幕以降か
靭帯の故障は再発リスクなども高く、復帰後にパフォーマンスが戻るのかも心配の種となる。
もっとも、かつてユベントスのチーフドクターだったファブリツィオ・テンコーネ医師は『トゥットスポルト』の取材に対し「私が把握している限りでは、他にも合併して痛めている箇所はなく、靭帯の断裂だけが独立して起こっている。これはポジティブなことだ」と強調。そして「キエーザは若いが、若すぎないことも良かった。20歳以下の選手が前十字靭帯を故障すると再発の確率は非常に高いが、それ以上だと俄然、低くなる」と語った。
前十字靭帯は通常、再建手術から3〜4週間後に歩行訓練を開始し、3カ月後からパフォーマンスの向上を図り、6〜7カ月後に競技復帰を目指すという流れになっている。
従ってキエーザは、来季の開幕に向けて復帰を図ることになる。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。