イタリアの地元紙各紙は、アタランタがサッスオーロのコートジボワール代表FWジェレミー・ボガの獲得合意に達したと報じた。
アタランタの本拠地ベルガモの地元日刊紙『エコー・ディ・ベルガモ』によれば、契約は1年間の延長オプション付きの4年契約で、サッスオーロにはボーナスを含めて2400万ユーロ(約31億円)の移籍金が支払われるという。アタランタではドゥバン・サパタの完全移籍に次いで、クラブ史上2番目の高額な移籍金での取引となる。
4クラブ競合に決着
チェルシーの下部組織出身のボガは、数年間のレンタルを経て2018年にサッスオーロへと完全移籍した。ロベルト・デ・ゼルビ監督(現シャフタール)の下で才能を開花させ、2019-20シーズンには11ゴールと活躍。左サイドからの鋭いカットインを駆使して相手の守備組織を単独で解体する能力を持っており、国内外の強豪クラブから注目の的となった。
『エコー』紙によれば、アタランタはアレハンドロ・ゴメス(現セビージャ)の移籍以来不在となっていた左ウイングができる戦力として獲得を希望。インテル、ナポリ、シャフタールも獲得へと動き、4クラブの競合になっていたという。
12月27日にもメディカルチェックが実施され、契約にサインがなされると報道されていたが、クリスマス直後のためスケジュール調整がうまくいかず数日後に延期。12月31日に所定の手続きを終え、冬の移籍市場が解禁となる来月3日に移籍が公式発表される予定だ。ボガはアフリカ・ネーションズカップ参戦に向けてコートジボワール代表に招集されているため、そのまま代表の合宿に向かうこととなる。
モチベーションは上がるか
2021年ではセリエA全選手の中で一番のドリブル成功率を誇ったボガ。コートジボワール代表のパトリス・ビューメル監督は『ガゼッタ・デッロ・スポルト』に対し、「ネーションズ・カップでも、よりモチベーションを上げてくれるはず」と移籍を喜び、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の指導を受けることについても「彼には合っている監督だ。より彼を強くしてくれるはずだ」と期待を示した。
ただ、今季の前半戦は新型コロナウイルス感染や故障などの影響もあって出場機会が少なく、0得点3アシストと成績も振るわなかった。サッスオーロのアレッシオ・ディオニージ監督は第19節ボローニャ戦後に「彼自身が、自分がどこにいるのかを分かってないような様子だった。夏から移籍の話などを立てられてはパフォーマンスにも影響が出たのではないか」と語り、サッスオーロでのモチベーション低下を指摘していた。
ともあれアタランタは、上位陣の中で先陣を切って補強を進めたことになる。なお、今回のボガの移籍によって、サッスオーロには1700万ユーロ(約22億円)ほどの資産利益が発生するという。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。