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ラツィオは連戦に弱い? サッリ監督のマネジメント能力に疑問符

2021.10.26

 今季からラツィオを率いるマウリツィオ・サッリ監督の采配が、サッカーファンやメディアの間で議論を呼んでいる。

不安定なメンタルは誰の責任か

 ローマダービーに勝利し、インテル相手にも逆転勝利を収めるなど強さは見せる一方で、10月に入ってからは第7節のボローニャ戦で0-3と大敗、さらに24日に行われた第9節エラス・ベローナ戦では、ジョバンニ・シメオネに4得点を許して1-4で敗れた。

 いずれも、ミッドウィークにUEFAヨーロッパリーグを戦った後での結果だ。サッリ監督はエラス・ベローナ戦後の記者会見で、メンタル面での錬成不足を指摘。「ボローニャ戦と同じことが起こった。我われは疲労が抜け切れていなかった一方で、最初にピンチが訪れたら、まるで日光にさらされた雪のようにたちまち溶けてしまった。つまり、我われはメンタルの上でまだソリッドではない。オリンピコから遠いアウェイで結果が出ないのも偶然ではない」と語った。

 もっとも、そのメンタル面での安定性の欠如は、4バックディフェンスの新戦術が浸透し切れていないことに起因する、という指摘も多い。

 サッリ監督の下、ナポリのポゼッション率は全体の上位3位に位置する一方、失点数は上位8チームの中では17失点とワースト。エラス・ベローナ戦ではフランチェスコ・アチェルビとルイス・フェリペのCB2人が欠けていたという情状酌量の面はあるものの、チーム戦術が機能し切れていないことは否めない。

 10月25日付の『コリエレ・デッロ・スポルト』は「ラツィオの選手たちがサッリの戦術を実践できるのか、それとも監督が考えを変えるべきなのか、結局はこの疑いが拭えない」とサッリ監督を批判した。

選手との間に確執の雰囲気も

 その意味で、にわかに注目が高まっているのはルイス・アルベルトの扱いだ。

 長短の正確なパスでチャンスを創出するテクニシャンはサッリ監督になってから[4-3-3]のインサイドMFとして起用されていたが、インテル戦以降はベンチスタートが続いている。10月21日のマルセイユ戦でもベンチスタートに回った。

 理由はまさに戦術バランス上の問題で、「現在のところルイス・アルベルトとセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチを同時起用するのは難しい。練習でのパフォーマンスデータを注意深く分析した結果、試合のリズムがもう少し優しい方が彼には合うと判断した」と指揮官は地元メディアに語っていた。

 しかし、その理由に納得していないのは選手サイドだ。ルイス・アルベルトは公式のTwitterアカウントで、サッリのコメントを紹介した記事に「優秀な選手を常に起用できなければ優秀な監督ではない」と反応したファンのツイートに“いいね”を付け、10月25日現在も撤回していない。

 『メッサッジェーロ』紙は「サッリとの関係が悪化すれば2022年1月に放出か」とも報じており、戦術の浸透と選手のマネジメントの両面で注意が必要な状況となっている。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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