ミランは10月13日、フリーエージェントとなっていたGKアントニオ・ミランテの獲得を発表した。契約は今季終了まで。GKマイク・メニャンが故障し、長期離脱が決定したため、急きょ獲得が決まった。
GK不在危機で白羽の矢
38歳のミランテは昨季ローマとの3年契約を満了した後、移籍先が見つからず9月以降は無所属となっていた。ナポリやスペツィアから打診があったとの報道も地元メディアでなされたが、契約には至らなかった。
しかし10月12日、メニャンの左手首靭帯損傷が判明し、GKを探さなければならなくなったミランから声が掛かった。ミランはメニャンの他にアレッサンドロ・プリッツァーリも故障しており、稼働可能なGKはチプリアン・タタルシャヌただ1人という状態となっていた。
ミランテは13日にミラノを訪れて市内の医療施設でメディカルチェックを行い、同日に獲得が発表された。移籍先が決まっていない間もパーソナルトレーナーを雇い、また地元カステッランマーレ・ディ・スタビアから近いセリエDソレントの練習場を使ってトレーニングを積んでいたという。
ソレントはミラン加入が発表された13日に公式ツイッター上で声明を出し「この数カ月間、信じられないほどのプロフェッショナルな姿勢と謙虚さを見せてくれた。大きな成功があるように」とエールを送った。
ベネツィアはロメロを獲得
一方、フリーエージェントとなった選手を “緊急補強”したのはミランだけではなかった。そこには故障者が出たという理由ではなく、戦力増強の目的でなされたものもあった。
競争力のあるGKを必要としていたベネツィアは、6月にマンチェスター・ユナイテッドとの契約を終えてフリーとなっていたセルヒオ・ロメロを獲得した。交渉は2、3週間にわたって行われており、一度は決裂の噂も出ていたが、リーグ中断期間中に成立した。
「マンチェスター・Uではしっかり練習を積んでいたし、アルゼンチンに戻ってからも個人トレーニングは積んでいた。(13年から2シーズン所属した)サンプドリアの時と同じセルヒオであることを証明したい」と、10月13日の記者会見で地元記者を前に宣言。早速、18日のフィオレンティーナ戦での先発起用が確実視されている。
他クラブも追随の動きを見せている。序盤戦で苦戦しているスペツィアがGKやDFを探しているという報道はこれまで頻繁になされており、他ならぬミランテやロメロの名が候補として挙がっていた。
また、SBの層の薄さに直面しているナポリは、他国のリーグでフリーエージェントとなっている選手を探していると地元紙で報じられている。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。