21歳のディエゴ・ライネスと35歳のアンドレス・グアルダード。ともに左利きのアタッカーで、若くしてメキシコからヨーロッパに渡り、現在はベティスでチームメイトとなっている。スペインで奮闘するメキシコ人プレーヤー2人の近況が、メキシコのメディア『RECORD』で紹介されている。
“メッシ2世”の異名に反論
ライネスはU-24メキシコ代表の一員として東京五輪に出場し、銅メダル獲得に貢献した。グループステージのU-24日本代表戦の前に「警戒すべき選手」としてメディアに取り上げられていたので、覚えている方もいるだろう。
日本との3位決定戦で足首を痛めた影響もあって今季開幕には間に合わず、9月30日のUEFAヨーロッパリーグ、フェレンツバロシュ戦でようやくベンチ入りを果たした状況で、ベティスのファンは今後の奮起に期待を寄せている。
そんなライネスは2017年3月、リカルド・ラ・ボルペ監督が率いていたクラブ・アメリカにおいて、わずか16歳でデビューを飾った。小柄で左利き、テクニカルなドリブルが得意という特徴から、ラ・ボルペは何かにつけてライネスをリオネル・メッシと比較し、以来ライネスは“メキシコのメッシ”の異名を取るようになったが、本人はこの異名に反論する。
「ラ・ボルペには非常に感謝しているけど、メッシと比較できる選手はいない。僕にとって彼は世界最高のプレーヤーだ。僕をデビューさせてくれたラ・ボルペがそのように見てくれるのはうれしいけど、メッシに対する敬意と称賛を忘れてはいけない」
また、ライネスは来冬にカタールで行われるFIFAワールドカップへの想いも語っている。
「ワールドカップでプレーすることは全フットボーラーの夢だ。僕はすでにオリンピックを経験した。A代表にも順応して予選を戦いたいと思っている。 全メキシコ人プレーヤーの夢であるワールドカップ出場を果たしたい」
「最後に近づきつつある」
一方、グアルダードは2007年にアトラスからデポルティーボ・ラ・コルーニャに移籍し、以来バレンシア、レバークーゼン、PSV、ベティスと欧州各国のクラブを渡り歩いている。35歳の今なおベティスで主力を務め、フェレンツバロシュ戦でも先発フル出場したが、欧州でのキャリアが終焉を迎えつつあることも自覚しているようで、次のように語っている。
「自分はすでにある程度の年齢に差し掛かっている。ヨーロッパでの日々は最後に近づきつつあると思う。だからこそ、常に強度の高いプレーをするようにしているんだ」
メキシコ代表は10月7日にカナダ、10日にホンジュラス、13日にエルサルバドルと、ワールドカップ予選3試合を戦う。グアルダードはその招集メンバーに当然のように名を連ねており、ここでも活躍が期待される。「勝利することは常に素晴らしいことであり、最高の気分になれる」と、まだまだ闘志は衰えていない。欧州での冒険が終わっても、彼のキャリアはもう少し続きそうだ。
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Profile
池田 敏明
長野県生まれ、埼玉県育ち。大学院でインカ帝国史を研究し、博士前期課程修了後に海外サッカー専門誌の編集者に。その後、独立してフリーランスのライター、エディター、スペイン語の翻訳家等として活動し、現在に至る。