2週間前のCL開幕戦では、クラブ・ブルージュに1-1で引き分けたパリ・サンジェルマンとRBライプツィヒに6-3で大勝したマンチェスター・シティ。9月28日、ペップ・グアルディオラとリオネル・メッシの再会にも注目が集まったグループA第2節の強豪対決は、ホームチームがそのメッシの移籍後初得点を含む2ゴールで勝ち点3を手にした。直近のリーグ戦ではチェルシーを下していた(0-1)プレミア王者を相手に、守りに入ることなく豪華3トップを先発させ、4DFと3MFの7人ブロック+GKドンナルンマで抑え切ったパリSGの勝因を西部謙司氏が解説する。
MNM開通のお知らせ
メッシ、ネイマール、ムバッペ――空想のベストイレブンでも躊躇(ちゅうちょ)するような豪華なアタックラインだが、今季ここまではいま一つ機能していなかった。
コンビネーションやコンディションの問題、あるいはこれが最重要課題だと思うが守備をどうするか……。ただ、3人の実力に疑問はなく、いずれ猛威を振るうのはわかっていたが、その最初がCLグループステージ第2節、マンチェスター・シティ戦になったわけだ。
3人の並びは右にリオネル・メッシ、中央にキリアン・ムバッペ、左にネイマール。これは最も無難な選択と言える。3人ともオリジナルポジションであり、かつてバルセロナで得点を量産した“MSN”(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)とはCFが違うだけだ。
ただし、これでシティに対抗できるかどうかは疑問だった。周知の通り、メッシは守らない。バルサの時はネイマールがMFのラインに入る[4-4-2]の形にしていたが、その程度でシティを止められるとも思えなかった。
フタを開けてみたら、メッシもネイマールも守備ブロックに入らないという予想の斜め上(下?)の回答を出してきた。ネイマールが明確にMFのラインに入るのではなく、メッシもネイマールもまず前線のハーフスペースを守り、押し込まれた場合にSBのヘルプに下がるという至極ノーマルな[4-3-3]設定。とはいえ、この2人がハードワークをこなすわけもなく、つまりパリ・サンジェルマンは4+3の7人による守備ブロックでシティの攻撃に対抗することに決めたわけだ。
開始8分にムバッペのクロスからネイマールがフリック(シュートミス?)し、イドリサ・グイェが決めて先制。後半に入って74分、メッシが十八番のカットインから中央のムバッペにパス、ムバッペがアウトで残したボールをダイレクトで叩いて2-0とした。“MNM”がカウンターの脅威をちらつかせながら、シティの攻撃をしのぎ切って勝利。3人のコンビネーションも良くなり、ここからMNMの本格的なスタートとなりそうだ。
[4-3]の耐久力
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。