ユリアン・ナーゲルスマンがバイエルンへ去り、同じレッドブル・グループのザルツブルクで実績を挙げたジェシー・マーシュ監督の下で新たなスタートを切ったRBライプツィヒだったがスタートダッシュに失敗。ブンデスリーガで10位と出遅れたチームに何が起こっていたのか。序盤戦の戦いぶりから分析する。
今、RBライプツィヒが強烈な「ナーゲルスマンロス」に襲われている。若き指揮官の戦術が依然として選手たちの中に息づいており、チームとしての戦い方に迷いが生まれているのだ。
今季、RBライプツィヒはユリアン・ナーゲルスマンをバイエルンに引き抜かれたことを受け、ザルツブルクからジェシー・マーシュを新監督に招聘した。
マーシュはもともとニューヨーク・レッドブルズの監督で、2018-19シーズンにラルフ・ラングニックの下でRBライプツィヒのコーチを務めた「レッドブルの申し子」だ。ザルツブルクでは「プレッシング・ゲーゲンプレッシング・速い切り替え」の3拍子がそろったサッカーを展開し、2年連続で国内2冠、2019-20のCLグループステージでリバプールと激闘を演じるなどして3位という好成績を残したことは記憶に新しい。
それに対してナーゲルスマンは、レッドブル直系ではない。ホッフェンハイムでラングニックの薫陶を受けたが、「ペップ時代のバルセロナに最も影響を受けた」と語るように、ボールを持って支配するのが哲学だ。
ナーゲルスマンは2019年夏にRBライプツィヒの監督に就任すると、「ボール保持とRBのDNAは矛盾しない」と発言し続けたが、あくまで表向きのポーズ。実際は過激なプレスとは距離を置き、可変システムや「Steil-Klatsch」(いわゆるレイオフ。ナーゲルスマンの場合、角度をつけて斜めに落とすのが特徴)を使い、計算された動きを選手たちに叩き込んだ。
ラングニック流とナーゲルスマン流。どちらでも結果を出せるはずだが、体力面に限ると、後者の方が疲れにくいのは間違いない。RBライプツィヒの選手たちはその味を知ってしまった。
新監督への反発も…
……
Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。