今からでも知っておくべきESL構想の論点#2
当初発表された枠組みでの実現はなくなったが、残留したレアル・マドリー、バルセロナ、ユベントスの3クラブによる次なる一手の可能性が報じられるなどいまだに“絶滅”はしていない欧州スーパーリーグ(ESL)構想。それ自体の是非はともかく、この構想が持ち上がるに至った背景に欧州サッカー界が直面するビジネス的な課題があることは知っておくべきであろう。そのいくつかの論点にスポットライトを当てる。
論点の2つ目は「クローズドリーグ」。ESL構想が批判にさらされた要因の一つに、メンバーがほぼ固定されたクローズドなリーグというフォーマットがあった。なぜESLはクローズドリーグを採用しようとしたのか、国際的にスポーツビジネスに明るい中村武彦氏に見解を聞いた。
『フットボリスタ第85号』より掲載
構想頓挫への見解
── 今回のESL騒動について中村さんがどのように感じられたか、まずは率直な意見を聞かせてください。
「あれだけ優秀なビジネスマンたちが練りに練ってきた企画にもかかわらず、なぜあのような発表の仕方をしたんだろうか、というのが第一印象でした。もう少し根回しをしたり、順序立てて進めたりしていくものなんじゃないかなと。何か裏事情でもあったのではないかと邪推までしてしまい、そこが一番の驚きでしたね」
── 確かに、以前から噂があった中でこのような形となってしまったのを見ると、発表の仕方のまずさが挫折の大きな原因となったと思わずにはいられません。
「そうですね。それから、2つ目に感じたのは『そういう考えになるよね』です。スポーツビジネスに携わっていれば、そういう考えになるのはあり得るかなと。さらに3つ目は、とはいえサッカーというのは欧州では北米と比べてビジネスとしてよりも、文化や歴史としての要素の方が大きいですから、その部分で反感を買ってしまったんだろうなというのが、このニュースを聞いて真っ先に自分の頭に浮かんだことでした」
── 今3つ挙げていただきましたが、1つ目の発表の仕方に関して、中村さんであればこうする、あるいはこうすべきだったといった考えはありますか?……
Profile
久保 佑一郎
1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。