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温暖化の影響を受けるサッカー界。2050年のワールドカップはどうなる?

2021.09.04

 今夏も猛暑や豪雨に見舞われた日本。地球温暖化が原因と見られているが、この気候変動はサッカーにも影響を及ぼしそうだ。

 日本を含めて多くの国が温暖化対策として2050年までの“カーボンニュートラル”を打ち出しているが、その2050年頃にスポーツ界はどうなっているのか。今年5月に『BBC』が特集した「Sport 2050」の記事を紹介しよう。

24チームがナイターで戦う?

 『BBC』は、2050年夏に中国でFIFAワールドカップが開催されることを想定している。まずは開催時期についてだが「初めて冬に開催された2022年カタール大会は30年近く前の話」で、それ以降は様々な時期に開催されるそうだが、やはり絶対的な権力を持つ欧州リーグの日程を優先するために、2050年大会は6~7月開催に落ち着くそうだ。

 時期は従来と変わらないが、大会期間の変更があると『BBC』は予想する。台風シーズンに当たるため、予備日が必要になる。さらに選手の休息日を増やすべく、大会期間は従来の1カ月間から2カ月間に延びるという。6、7月をまるまる使い、決勝戦は7月30日に開催される。

 大会期間が延長する一方で、参加チーム数は減少するそうだ。2026年大会では参加チームが48チームに増えるなど、今は拡大傾向が続いているが、2050年大会には24チームまで減っているそうだ。理由は「CO2対策」である。チーム数を減らすことで、飛行機移動によって排出される温室効果ガスを削減するのだ。

 キックオフ時間にも変更がある。暑さ対策のため、ワールドカップ史上初めて全試合ナイターゲームが採用される。もちろん大半の試合はエアコンが効いた屋内スタジアムで開催されるが、スタジアムに足を運ぶファンのことを考えてナイターになるようだ。

生観戦からVR主流に?

 肝心の試合に関しても、大幅なレギュレーション変更がありそうだ。その頃になるとサッカーもフットサルのように「プレーイングタイム」制を導入しているという。前後半45分間のランニングタイムではなく、プレーが切れるたびに時計を止めるプレーイングタイム制だ。時間は30分ハーフが採用される時期もあったが、2050年には“20分サード”の計60分(20分×3本)に落ち着くようだ。

 さらに“ローリングサブ”が採用される。各選手が生体計測機器を着用しており、暑さや疲労によりバイタルサインが危険域に近づいた際には自由に交代ができる。出入り自由だ。そして1チームの登録メンバー枠も従来の23~26名から「40名」まで拡大されるそうだ。

 そしてファンにとって最大の衝撃は、中国在住者にしかチケットが販売されないということだ。海外ファンがチケットを購入するためには、地球にやさしい移動法で中国入りすることが条件になる。電気自動車や再生可能エネルギーの船など、限られた移動手段しか使えない。現行のワールドカップは、炭素排出量の約70%が観客の飛行機移動によるものなので、そこにメスが入れられるのだ。

 そのためスタジアム観戦は難しくなるが、代わりにVRを使用してスタジアムにいる感覚を味わいながら視聴できるシステムが用意される。視覚や聴覚だけでなく、近未来のテクノロジーで感触や匂いまで体感できるそうだ。

 そんなテクノロジーの発展は楽しみだが、温暖化のせいでここまで大会フォーマットが変わってしまうと、まったく別のスポーツのように思えてくる。

 果たして、私たちの愛するサッカー、そして地球は30年後にどうなっているのだろうか……。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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