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ロナウド、古巣ユナイテッド移籍が決定。ユベントスが得るものとは?

2021.09.01

 ユベントスは8月31日、マンチェスター・ユナイテッドとFWクリスティアーノ・ロナウドの完全移籍について合意したと発表した。また、移籍先のマンチェスターUも正式に獲得を発表し、1年間の延長オプション付きの2年契約とした。

急転直下の古巣復帰

 ロナウドはユベントスに退団の意思を告げ、8月27日にトリノを離れていた。その時点ではマンチェスター・シティへの移籍が有力視されていたもののクラブ間合意はなく、後にシティとユナイテッドが競合しているという話が浮上。最終的にロナウドはかつての古巣への移籍を決めていたが、この日までクラブ間で正式の発表はなかった。

 ユベントスは公式HPで別れのメッセージを掲げ、133試合出場(編注:実際は134試合出場)101ゴールと5つのタイトル獲得に貢献したことに感謝を述べ、「3シーズンの間に100ゴール以上を稼いだ選手はクラブ史上初。それぞれがCR7についての思い出や感動を抱いているし、一緒に歩んだ日々のことは、これからもずっと記憶し続けるだろう」と記した。

 そしてユベントスが合わせて公開した公式リリースによれば、マンチェスター・Uはユベントスに対し、1500万ユーロ(約19億円)ならびに800万ユーロの成功ボーナスを支払うことで合意。支払いは5年間で分割して行われる。

収支の上では損か得か

 一方、今回ロナウドが移籍したことによって、2020-21シーズンの決済には選手の保有権の換算において部分的な帳簿価格の低下が生じるため、1400万ユーロの損出が計上されると発表した。また、ユーベは同日に、後釜としてモイゼ・キーンの復帰を発表。現在パスを保有しているエバートンに対し2年間で合計700万ユーロのレンタル料を支払い、その後に2800万ユーロの移籍金を払って完全移籍となる。

 2021-22シーズンの決済においては、ロナウドの放出は節約につながるという見方もある。サッカーの経営・金融情報を扱う情報サイト「カルチョ・エ・フィナンツァ」は、ロナウドを1年残留にさせるにあたっては税込の年俸が約5730万ユーロかかることに加え、保有権料の減価償却分が約2880万ユーロほどになるので、年間約8620万ユーロ(約107億円)ほどのコストが掛かっていたと算出。そして「少なくともその分は、来季においては節約されることになる」と報じた。

 だが、ファンはロナウドの移籍を受け止めている一方、経営的な面から今回の移籍のオペレーションについてかなり厳しい反応を見せた。「クラブの収入アップのためにロナウドを起用して、出したのは1500万ユーロの損出だけか」「結局ロナウドの年俸分は、1400万ユーロのキャピタルロスとキーンの獲得で相殺されるってわけだろ。何を考えているんだ」などと、経営陣に対する批判のコメントがネット上で現れていた。


Photo: Getty Images

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クリスティアーノ・ロナウドマンチェスター・シティマンチェスター・ユナイテッドユベントス移籍

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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