インテル愛を体現する「黄金の少年」。荒波に揉まれたラノッキアの航海譚
去る6月28日、インテルはアンドレア・ラノッキアとの契約延長を発表した。期間は2022年夏まで。港町バーリで頭角を現し、2011年冬に鳴り物入りで加わったイタリア屈指の若手CBも、今ではチーム最古参の33歳。決して順風満帆とは言えない航海を進めながらネッラズーリ(黒と青)に揺るがぬ忠誠を尽くすベテランの在籍10年間を、長年インテルを見守る白面氏に振り返ってもらった。
船出
インテル・ミラノというクラブと浮沈をともにし、自らのキャリアを決定づけた選手がいる。
アンドレア・ラノッキア。かつて「ネスタの再来」「マテラッツィの後継者」と称された男は、激動の時代にあったクラブに翻弄されながらも、あえて運命をともにすることで、唯一無二の存在となった。
カルチョで本格的にキャリアを刻み始めたのは、2008-09シーズンのバーリから。のちにインテルで再会するアントニオ・コンテに見出され、CBとして出番をつかみ始めたのだ。経験豊富なベテランが好まれるイタリアサッカーにおいて、20歳そこそこの選手に守備の要を任せることは、セリエBとはいえ異例の抜擢であった。しかし結果は吉と出て、バーリは見事に昇格を果たす。
さらに翌シーズンはレオナルド・ボヌッチとコンビを組み、10位で残留を勝ち取る快挙を成し遂げた。この活躍をもって多くのビッグクラブから注目を集めたラノッキアは、翌2010-11シーズンの冬、長友佑都らとともにインテルへ加わった。
大きな栄光へ至る、上々の滑り出しに見えた。当時のインテルはセリエAを5連覇中で、ディフェンディング・チャンピオンという立場であったが、守備の要であったワルテル・サムエルの長期離脱という危機に陥っていた。そんな中で代役として選ばれたのが、当時所属のジェノアと共同保有状態にあったラノッキアだったのである。インテルが推定1250万ユーロで完全保有権を獲得し、冬のうちにチームに合流させるほど、大きな期待を寄せられていた。
メガクラブにシーズン途中からの加入という難しい状況ながら、瞬く間にレギュラーに定着した新進気鋭の若手に、インテリスタはどこまでも夢を見た。クラブはシーズン序盤の低迷からスクデットこそ逃したものの、前年に続きコッパ・イタリアを獲得。加入後はほぼすべての試合に出場し、巻き返しに大きく貢献したラノッキアは、この年のセリエAにおけるベストイレブンに選ばれている。……
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白面
集団心理とか、意思決定のノウハウ研究とかしています。昔はコミケで「長友志」とか出してました。インテルの長所も短所も愛でて13年、今のノルマは家探しです。