2013-14 以来7シーズンぶりとなるリーグ制覇を遂げ、3強の一角であることをあらためて世に知らしめたアトレティコ・マドリー。原動力となったのは彼らの金看板となっている堅守だったが、その中身は従来とは違うものだった。指揮官ディエゴ・シメオネが確立した守備戦術、その仕組みと変遷をたどる。
『フットボリスタ第85号』より掲載
2020-21のリーグ優勝を加えて就任10年目でタイトル8つ(リーガ2、EL2、UEFAスーパーカップ2、コパ・デルレイ1、スペインスーパーカップ1)は監督としてクラブ史上最多であり、加えてCL決勝進出2回でリーグ4位以下には一度も落ちたことがない。スペインの3番手でありながら、決してレアル・マドリー、バルセロナと競い合うレベルになかったアトレティコ・マドリーが今や3強の一角を占めるのは、シメオネのおかげである。「1試合、1試合戦う」とか「庶民の反乱」だとか、クラブのアイデンティティを巧みな話術で作り上げたのも彼。今やチームではどんな選手よりも重要で、クラブでは会長よりも偉い(それゆえに、ポストシメオネはクラブを根底から揺るがしかねない大問題なのだが、2020-21の立派な成績で寿命はまたまた延びた)。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。
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2024.08.01