誰もが予想だにしなかった、リオネル・メッシのバルセロナ退団発表。発表自体はもちろんのこと、彼自身が退団を望んだ1年前とは違いクラブと選手本人は合意に達していながら、リーグのサラリーキャップ規定に阻まれ契約が不可能になったというクラブの声明が驚きを増幅させることとなった。何しろ、バルセロナは最新2021年版の『デロイト・フットボール・マネーリーグ』で売上高世界一に輝いているのだ。業界のリーディングクラブが、突如としてこれほどの難局に直面するというのは尋常ではない。その背景を紐解けば何もバルセロナだけに限った話ではなく、欧州サッカー界が今まさに直面しているビジネス面の問題に行き着く。
オリンピックも終盤に近づき、欧州新シーズン開幕を直前に控えた8月5日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。FCバルセロナによるメッシの退団発表である。その後もまだその背景や結末に関しては様々な憶測が飛び交っている真っ只中だが、メッシ退団発表のニュースが意味するものは、今年4月に勃発したESL騒動のそれと根っこはまったく同じものだと感じている。……
Profile
利重 孝夫
(株)ソル・メディア代表取締役社長。東京大学ア式蹴球部総監督。2000年代に楽天(株)にて東京ヴェルディメインスポンサー、ヴィッセル神戸事業譲受、FCバルセロナとの提携案件をリード。2014年から約10年間、シティ・フットボール・ジャパン(株)代表も務めた。