「ハーフスペース」をはじめとした戦術用語の詳細な解説やチーム戦術の分析を行い、寄稿者の中からレネ・マリッチらプロのコーチに転身する人材も輩出しているドイツの戦術分析サイト『シュピールフェアラーゲルンク』。サッカー関係者からも一目置かれる存在の同サイトがこの春、2020-21に破竹の勢いで勝利を重ねたグアルディオラの最新戦術について徹底分析した記事を公開した。分析には、ハイデュク・スプリトのセカンドチームでコーチを務めたマルティン・ラッフェルトら複数のライターが参加。さらに、レネ・マリッチもフィードバックやアドバイスを行っている。今回は 『シュピールフェアラーゲルンク』 の許可を得て、珠玉の分析記事を全編翻訳し公開する。
第4回では敵陣での攻守の振る舞い方、具体的にはボールロスト後の即時奪回およびファイナルサード攻略法に焦点を当てて解説していく。
不死身のプレー
ボール保持時の主な狙いとしては、相手DF陣にドミノ効果を引き起こさせることだ。ポジショナルプレーに基盤を置いたサッカーは、理想的にスペースを占拠するためには常に選手が1人(あるいはその役割や機能)が足りないような印象を与える。最前線での深さ、最終ラインの幅、その間の幅、中盤へ集める枚数、そして最終ラインで深さを作るオプション……。最もわかりやすい解決方法は、GKを最終ラインに組み込むことだ(例えば[4-2-2-3]のように)。だが、それは同時に最もリスクが大きいやり方でもある。グアルディオラは、バルセロナ時代からこの問題を違った方法で解決している。CFが中盤に降りてくることで、中央レーンで深さを確保するポストプレーヤーがいなくなってしまうが、それ以外のすべてのポジションと機能を満たすことができる。セントラルMF、ウイング、そして3バックは幅を確保する。その際、先に述べたように中盤の選手は状況に応じて中に入ってくる。……
Profile
シュピールフェアラーゲルンク
2011年のWEBサイト立ち上げ以来、戦術的、統計的、そしてトレーニング理論の観点からサッカーを解析。欧州中から新世代の論者たちが集い、プロ指導者も舌を巻く先鋭的な考察を発表している。こうしたプロジェクトはドイツ語圏では初の試みで、13年には英語版『Spielverlagerung.com』も開始。監督やスカウトなど現場の専門家からメディア関係者まで、その分析は品質が保証されたソースとして認知されている。