『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は7月29日、デンマーク代表MFクリスティアン・エリクセンが来週にもミラノに赴き、インテルのチームメイトやシモーネ・インザーギ新監督らに挨拶する見込みだと報じた。
検査のためイタリアへ
エリクセンは6月12日のEURO2020デンマークvsフィンランド戦の最中にピッチで突如、意識を失って倒れ込み、心停止状態に陥った。その後の救命活動で一命を取り留め、17日には心臓の活動を監視するための機器であるICD(植え込み型除細動器)取り付けの手術を施された。
予後そのものは良く、日常生活には復帰。現在は祖国デンマークで家族とリラックスして過ごしているという。
ただ、現実的な課題はプレーへの復帰だ。インザーギ監督は7月7日の記者会見の中で「事故が起こる前に我われは話をしていた。新シーズンの戦力として期待をしていた」と語り「落ち着いて休養を取って欲しい。監督として、いつでも手を広げて帰りを待っている」と期待を示した。
ただ、イタリアにおいては、ICDを装着したアスリートは規定によりスポーツ競技ができないことになっている。従ってイタリア来訪の際は、ICDを外しても大丈夫かどうか確認するための検査のために戻ってくるのだという。同器具の取り外しが認められたなかった場合は、ドイツやオランダなどプレーが認められている国、リーグへの移動を余儀なくされることなる。
プレー可能まで半年を要する?
しかし、症状によってはICDを外し、プレーが可能な状態へと上げていくことも可能だという見通しもある。循環器学医のリッカルド・カッパート氏は『コリエレ・デッロ・スポルト』の取材に対し「心臓の問題が炎症によるものだと診断ができるのであれば、エリクセンが最終的にICDを取る方向まで治療を進めることができ、つまりはイタリアでプレーすることができるようになることを意味する」と語った。
エリクセンは他の選手と同様、これまでのキャリアにおいて心臓のスクリーニング検査を行っているが、その時点では問題が見つかっていないことが明らかになっている。
もっとも、復帰できることになっても、プレーする状態になるまでには少なくとも半年を要すると見られている。
そのため、インテルは穴埋めとしてミランと契約更新に至らなかったハカン・チャルハノールを急きょ獲得。トルコ代表のファンタジスタはフィニッシュワークの組み立てを担う左インサイドMFに充てがわれ、7月28日のクロトーネ戦では1得点3アシストを記録してインザーギ監督の戦術に対応していることをアピールした。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。