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本人の希望で着用決定。アーセナルの新10番は“勝ち点2倍”のプレーヤー

2021.07.28

 フットボールにおいて背番号10はチームの“顔”となる存在だ。それはアーセナルでも例外ではない。

 プレミアリーグ発足以降、アーセナルではポール・マーソンやデニス・ベルカンプなどの名だたる技巧派プレーヤーがそのユニフォームに袖を通してきた。しかし「10番」は、同クラブにとって“いわくつき”の背番号とも呼ぶことができる。

 DFながらNo.10を背負ったウィリアム・ガラスは腕章を剥奪されたし、絶対的エースだったロビン・ファン・ペルシーは宿敵マンチェスター・ユナイテッドに鞍替えした。そしてジャック・ウィルシャーメスト・エジルのような魅せるタイプのゲームメーカーも、一時は輝きを放ったものの、最終的には期待に応えることができずにチームを後にした。

 新シーズン、そんな「10番」の重圧に挑戦することになったのが、7月28日に21歳の誕生日を迎えたばかりの生え抜き、MFエミール・スミス・ロウである。

活躍により長期契約を締結

 ミケル・アルテタ監督によると、スミス・ロウ本人が10番を希望したそうで、「ちゃんと話し合ったし、本人も(10番の)重みを理解している」と大抜擢の理由を説明している。一抹の不安はあるにしろ、スミス・ロウの「10番」はアーセナルファンにとって朗報である。

 スミス・ロウは昨年12月のチェルシー戦でいきなりスタメン出場を果たすと、20歳とは思えない大胆さで常にパスを要求して完全にゲームをコントロールし、チームをリーグ戦8試合ぶりの勝利に導いて“救世主”と崇められた。

 シーズン終盤はレアル・マドリーから期限付き加入したMFマルティン・ウーデゴールが脚光を浴びたせいで少し存在感が薄れたが、それでも確かな技術を見せつけていた。

 そのため今オフにはアストンビラから移籍金3000万ポンドと言われる巨額のオファーを受けたそうだが、当然クラブはこれを拒否。新たに長期契約を結び直してファンを安心させた。

出場の有無で数値が大きく変わる

 そんなスミス・ロウについて、プレミアリーグの公式HPが特集記事を掲載している。昨シーズン、スミス・ロウはリーグ戦20試合に出場して2得点4アシスト。これだけを見ると大したことはないが、彼の出場した試合のデータに着目すると驚きの事実が分かるという。

 スミス・ロウがスタメンから外れた試合、アーセナルは20戦で6勝しかできず、1試合の平均勝ち点も「1.1」に留まった。

 対照的に彼がスタメン出場した18試合では12勝も挙げており、平均勝ち点は倍の「2.2」を記録したのである。

 どうやらアーセナルの「新10番」は、勝ち点2倍の価値があるようだ。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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