日本時間7月11日の朝9時(ブラジル現地時間10日21時)、南米王座を懸けたコパ・アメリカ決勝、アルゼンチン対ブラジルがキックオフを迎える。今回の頂上決戦で注目されるのはやはり、1993年から無冠というアルゼンチンが28年ぶりに、そしてメッシが代表では初となるタイトルを獲得できるかだ。代表デビューから16年、34歳となったエースにとって、いずれも涙を呑んだ2007、2015、2016年コパ・アメリカ、2014年ブラジルW杯に続く5度目の主要大会ファイナルは、アルゼンチンにとっては一度失ってしまった「強豪」の地位を奪回するための第一歩となる。代表再建に向けた“10年計画”がスタートして3年、エスカローニ監督と歩を進めてきたチームの現状と彼らを取り巻く国内の雰囲気を、現地からChizuru de Garciaさんに伝えてもらった。
新型コロナ禍の真っ只中、アルゼンチンとコロンビアでの開催が事実上不可能となり、感染被害の大きさで世界2位の不名誉を被るブラジルが急きょホスト国に決まったコパ・アメリカ。一部のスター選手たちが開催に異議を唱えながら参加し、サッカーを情熱的に愛する南米の人々さえも困惑する異様な状況下で開催された今大会のファイナルが、アルゼンチン対ブラジルという魅力的なカードとなって最高の盛り上がりを見せているのは実にシニカルな展開だ。
アルゼンチンでも当初は観る側の心に複雑な感情が交錯したが、大会が進むにつれて関心はピッチの中での出来事に移行し、今となっては人々の願いはただ一つ。マラカナン(リオデジャネイロ)でブラジルを撃破して南米王者になることである。
「もはや世界の強豪ではなくなった」3年前
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Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。