メッシとバルセロナの契約問題はいまだ解決のめどが立っていない。クラブと本人は合意しているようだが、バルセロナがメッシへの報酬を確保するためには、選手を大量に放出して年俸総額を抑えなければならない。両者の新契約はいつ、どのような形で結ばれることになるのか。
メッシが自由契約になって6日が経った。彼の契約問題は、出口のない迷路のようだ。
肝心なクラブと本人との合意はできている。 報道によれば、契約期間は2年で報酬は手取りで総額3億ユーロ(約393億円)。これを5年間の分割で受け取るようだ。が、この条件を満たす目途がクラブ側に立っていない。
ルールは曲げられない
ネックになっているのが、ラ・リーガが全クラブに課している来季の年俸総額制限である。
この額は各クラブの財政状態によって上下するのだが、2021-22シーズンのバルセロナの場合は昨季実績値となる3億4700万ユーロの半額以下、1億5000万から1億6000万ユーロになると見られている。
わずかな黒字の予定だった2020-21シーズンの決算で、3億2000万ユーロの大赤字となる見込みであることが、この大幅ダウンの理由である。
単純計算で2億ユーロ分のサラリー減額となると、大幅な戦力ダウンは否めない。しかも、メッシの新年俸が3億ユーロで5年払いとなると、単年では6000万ユーロとなり、この「1億5000万から1億6000万ユーロ」の4割弱はメッシの取り分となって、チームメイトの分が賄えなくなる。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。