ミュンヘンで行われたドイツvsハンガリー戦で、スタジアムに虹色のイルミネーションを施す案がミュンヘン市から出されたが、UEFAはそれを却下した。「UEFAが虹色のメッセージを否定している」と誤解されることもあるが、却下した理由は別のところにある。
UEFAがスタジアムに虹色のイルミネーションを施すことを禁止したと話題になっている。虹色がレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー (LGBT) の尊厳の象徴だけに、一見複雑で微妙な問題で、賛否両論はあるだろうが、UEFAの理屈としては非常にシンプルだ。整理してみよう。
メッセージ自体は肯定だが…
6月21日、ミュンヘン市長がドイツvsハンガリーの開催地であるフースバル・アレーナ・ミュンヘンを虹色にイルミネーションすることをUEFAに提案した。翌22日、UEFAはそれを却下した。理由は「この提案は政治的な文脈――ハンガリー国会で下された決定に対するメッセージ――で出されたもの」だったからだ(UEFAの公式声明のスペイン語から木村訳)。
ここで注意しなければならないのは、UEFAは虹色に込められたメッセージ自体を否定しているわけではないこと。むしろ逆だ。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。
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