6月16日にクラブから発表された、セルヒオ・ラモスのレアル・マドリー退団。2005-06から16シーズンで公式戦671試合に出場、DFながら通算100ゴールも達成したレジェンドながら、最後はファンとの別れを惜しむ時間もないままクラブを去ることとなってしまった。 退団劇の裏で繰り広げられていた駆け引きなど、 クラブと選手、両陣営のやり取りやその思惑を紐解く。
6月11日(金)、レアル・マドリーのオフィスでこんなやり取りがあったという。弁護士を伴って現れたセルヒオ・ラモスにフロレンティーノ・ペレス会長は言った。
会長:「セルヒオ、今日は何について話してほしいのかな?」
セルヒオ・ラモス:「……(省略)」
会長:「セルヒオ、私に4カ月前『ノー』と言ったのは君ではないか? 自分抜きでチーム作りをしてくれと頼んだじゃないか?」
セルヒオ・ラモス:「……」
会長:「君はこの4カ月間、交渉を続けていたと思っていたのかい? 違う。我われは交渉なんかしていなかった」
セルヒオ・ラモス:「もうアラバを獲っていたから自分を必要としないってことか?」
会長:「違う。君に契約更新のオファーを出した時アラバとは基本的な合意ができていたに過ぎない。君が『ノー』と言ったからアラバにOKと言った」
クラブが「お別れのセレモニーを明日開催。その後本人による記者会見あり」という短い告知をマスコミ各社に出したのは、その日から1週間も経たない16日のことだった。
「賞味期限があった」
……
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木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。