【EURO2020カウントダウン企画】強豪国の戦力分析#4ドイツ代表
6月11日に開幕するEURO2020。そのカウントダウン企画として、各国に精通するジャーナリストが強豪国の戦力分析&最新情報をお届けする。第4回は、前回W杯での惨敗以降、迷走が続くドイツ代表。本大会を目前にしてシステムすら固まっていないようだが……今大会が最終章となるレーブ政権は「ディー・マンシャフト」を栄光へと導くことができるだろうか。
ヨアヒム・レーブが率いた15年間において、これほどシステム論でもめたことはなかっただろう。
3バックか、それとも4バックか?
EURO本番直前、ドイツ代表はいまだに「形」を決められずにいる。
6月2日のデンマーク戦とのテストマッチが1-1に終わると、『ビルト』紙はこう報じた。
「チームの大部分の選手たちがヨッギ(レーブ)の戦術に疑問を抱いている。特にバイエルンの選手たちが4バックを望んでいる。4バックにより慣れているからだ」
デンマーク戦において、レーブ監督が採用したのは3バックだった。システムは[3-4-3]。DFラインはマティアス・ギンター、ニクラス・ジューレ、マッツ・フンメルス。2列目はルーカス・クロシュターマン、ヨシュア・キミッヒ、フロリアン・ノイハウス、ロビン・ゴセンス。そして1列目はレロイ・サネ、セルジュ・ニャブリ、トーマス・ミュラーという並びだ。
ドイツは試合を支配し、48分にゴセンスが上げたクロスのこぼれ球をノイハウスが押し込んで先制した。しかし、71分にカウンターからユスフ・ポウルセンに決められて追いつかれてしまう。
2019年3月から構想外になっていたミュラーとフンメルスが復帰し、“強いドイツ”が戻ってくるかと思われたが、EUROに向けて不安が残る結果になってしまった。フランス、ポルトガル、ハンガリーと同組の“死の組”をとても突破できるとは思えない内容である。
「3バックの呪い」
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Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。