5月6日、EL準決勝の第2レグ。ホームであるエミレーツ・スタジアムにてビジャレアルの決勝進出を許し、アーセナルは5季連続でCL出場権を逃すことになった。クラブOBで世界トップの名将であるグアルディオラの下で薫陶を受けたミケル・アルテタを監督に招聘したのが2019年の12月。就任当初はエメリ時代のモヤモヤを吹き飛ばすサッカーを見せたものの、あれから1年半たった今では数節を残した状況においてなおリーグテーブルの上半分でシーズンを終えることさえ保証されていない状況にある。20-21のアーセナルはなぜうまくいかなかったのか。5つのポイントから振り返っていきたい。
①誤算だったオーバメヤン――定まらなかった攻撃の軸
ここまでのアルテタ政権のアーセナルにおいて、最も雰囲気が良かった時期はFAカップの優勝を頂点とする昨シーズン終盤だろう。FAカップではマンチェスター・シティとチェルシーに勝利し、リーグ戦では(消化試合とはいえ)王者のリバプールからも勝利をもぎ取った。
ただし、指摘しておかなければいけないのはこの時のアーセナルは強さを前面に押し出して勝ったのではなく、割り切った戦い方で勝利をつかんだということ。[5-4-1]のローラインで自陣の深い位置まで引きながら、限られたカウンターの機会を得点に結びつけることによってアップセットを起こしていた。
その手法が可能だったのは前線が絶好調だったから。特にピエール・エメリク・オーバメヤンは得点源として絶大な信頼感を得ていた。2020年9月にクラブの公式SNSで仰々しく行われた契約延長発表は、アーセナルファンならば誰もが待ち望むものだったはずだ。
しかし、今となってはあの日を輝かしい思い出とするファンはどれだけいるだろうか。20-21のオーバメヤンはキャリアワーストといっていい最悪の1年だった。動きに鋭さを欠き、守備には戻らず、数少ない攻撃の機会は決めきれない。まるでオーバメヤンにそっくりな双子の弟がプレーしているかのようだった。
プレー内容もさることながら、気がかりだったのはその表情。加入当初はアレクシス・サンチェスがもたらしたピリピリ感を払拭する笑顔があふれており、その姿はアーセナルを照らす明るい太陽のようだった。しかし、今季のオーバメヤンはプレーの成否にかかわらずとにかく表情の変化に乏しかった。ピッチの外で何か心配事を常に抱えているようで、ピッチの中の出来事にあまり興味がないようにすら見えた。終盤戦は表情、コンディションともに緩やかに回復はしたが、全盛期の輝きを取り戻したとはいいがたいのが現状。喜びの契約延長から半年もたたないうちに、オーバメヤンをネガティブにとらえるファンであふれかえってしまった。
機能しなかったのは絶対的なエースだけではない。……
Profile
せこ
野球部だった高校時代の2006年、ドイツW杯をきっかけにサッカーにハマる。たまたま目についたアンリがきっかけでそのままアーセナルファンに。その後、川崎フロンターレサポーターの友人の誘いがきっかけで、2012年前後からJリーグも見るように。2018年より趣味でアーセナル、川崎フロンターレを中心にJリーグと欧州サッカーのマッチレビューを書く。サッカーと同じくらい乃木坂46を愛している。