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フォンセカ監督退任のローマ、後任にモウリーニョを招聘

2021.05.08

 ローマは5月4日、パウロ・フォンセカ監督が今シーズン限りで退任することに加え、トッテナムを解任されたばかりのジョゼ・モウリーニョ監督が来シーズンから指揮を執ることを発表した。

フォンセカ退団は既定路線

 フォンセカ監督については、今シーズン限りの退団は濃厚と見られていた。契約期間は今シーズン終了までで、UEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得の場合は自動的に延長される条項がついていた。

 しかし第34節のサンプドリア戦で敗れて4位ミランとの勝ち点差が残り4試合で14に広がり、可能性は消滅。3日はダン・フリードキン会長やチアゴ・ピントGDによる幹部会談が実施されたが、『コリエレ・デッロ・スポルト』の報道では「直ちに辞任する意思があるかどうかを確認された」という。

 そして4日の午前中に、シーズン終了後の退任がクラブ公式HPで発表された。その中でフォンセカ監督は「2年間、我われは浮き沈みを経験したが、私は全力を尽くした。ファンの皆さんやトリゴーリアで働いたスタッフ、そして選手たちや幹部に感謝したい」と述べ、「まだこのシーズンでは勝つべき大事な試合が残っているので全力を尽くしたい」と今季終了までの抱負を述べた。

 するとローマは3時間後、モウリーニョ氏の次期監督就任を発表した。契約は2024年6月までの3年間で、年俸は推定で750万ユーロ+成功ボーナスとされている。4日の地元紙ではマウリツィオ・サッリ氏の就任が噂されていたように、大半のイタリアのメディアにとっては寝耳に水の一報だった。

11年ぶりのセリエA挑戦

 衛星放送『スカイ・スポーツ』によれば、ローマはモウリーニョ氏がトッテナムの監督を解任された直後から、仲介者を通して代理人のジョルジュ・メンデス氏と秘密裏に接触。本人から「話を聞こう」という承諾を受けると、フリードキン会長とピントGDらはすぐさまロンドンへと飛び会談を持ったという。そこから完全秘密裏のうちに契約の詳細を詰め、4月30日までには大筋で合意していたという。

 モウリーニョ氏は、クラブ公式HPと自身のインスタグラムでコメントを発表し、「オーナーとチアゴ・ピント氏と話し合い、クラブが野心を抱いていることをすぐにわかった。これは私が長年抱いていたモチベーションと同じものであり、ともに勝利に満ちた数年間を築きたいと思った」と表明した。

 そして熱狂的な反面、関係の構築が難しいともされるローマのファンに向け「ファンの方々の信じられない情熱が自分を確信させるに至った」とのアピールも忘れず「ダイエ・ローマ!」とローマ方言で締めた(「ダイエ」は「さあ行こう」「頑張れ」などと状況に合わせて幅広く感嘆詞的に使われる言葉)。

 モウリーニョ監督にとっては、2009-10シーズンでインテルの3冠獲得に貢献して以来11年ぶりのセリエA挑戦となる。1日付の英タイムズ紙のインタビューでは「インテルとは特別な繋がりがあるが、もしライバルチームから声が掛かれば二つ返事で行く」とも語っており、その言葉通りのイタリア復帰となった。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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