サッカーとは無縁に思えるハリウッド俳優も、その職業柄、サッカーに興味を持つことがあるようだ。
サッカーのコーチ役を演じた
『BBC』のウェブサイトには、80年代にリバプールで活躍したマーク・ローレンソンが著名人をゲストに迎えて週末の試合結果を予想するコーナーがある。過去にはロバート・デ・ニーロやゲイリー・オールドマンのようなアカデミー賞俳優が登場している。
先日そのコーナーに、1980年代に人気を博した映画『ポリスアカデミー』に出演したスティーブ・グッテンバーグ(62歳)が招かれた。彼はほとんどサッカーに興味がないが、プレミアリーグでは3チームに特別な思いがあるという。
アメリカで生まれ育ったグッテンバーグは「私は野球ファンだが、高校時代にはサッカーをやったことがあるんだ」と意外な経歴を明かした。「3軍のGKだったので、得意だったわけじゃないが楽しんだよ」
『ポリスアカデミー』シリーズや『スリーメン&ベビー』などに出演したグッテンバーグは、1995年公開の『ビッグ・グリーン』でサッカーのコーチ役を務めたことがある。英国から交換留学プログラムでアメリカに来た女性教師が弱小チームを成功に導くというディズニー映画で、グッテンバーグはコーチ役を務めた。
「素敵な映画だったね」と振り返るグッテンバーグ。「現実世界でもコーチ業には少し興味があるんだ。マンチェスター・ユナイテッドが誘ってくれないかな」と冗談を飛ばした。
祖父に縁があるリバプールの街
しかし、彼が愛着を持つクラブはユナイテッドではないという。彼が好きなのはリバプール、エバートン、そしてクリスタルパレスの3チームだ。とりわけリバプールという町には特別な思いがある。
「私の祖父は、ロシア革命後にポグロム(ユダヤ人迫害)から逃れるために馬に乗って逃げたんだ。そしてリバプールまでたどり着き、そこに5、6年ほど住んだ後、アメリカに移住したのさ」
一方で、クリスタルパレスに関しては特別な縁があるわけではない。2008年にパレスの本拠地近くでパントマイムの公演に出たことがあり、それがきっかけで愛着を持つようになったようだ。「クリスタルパレスの試合は1試合も見れなかった。でも、宿泊先がバッキンガム・パレス(バッキンガム宮殿)の近くだったので、そこは何度も見ることができたよ!」
名優トム・ハンクスがアストンビラを好きになった理由は「アストンビラ」というチーム名を聞いて「素敵な別荘がある街なんだろう」と名前の響きに惹かれたからだという。
チームを好きになるきっかけなど、何でもいいということだ。
Photo: Getty Images
Profile
田島 大
埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。