リーグ戦が佳境となっているのはセリエBも然りだ。残り4節となって首位に立っているのはエンポリだが、昇格プレーオフ出場権内の4位につけるモンツァに問題が発生した。所属選手8名が、国境を超えてスイス・ルガーノのカジノに遊びに行っていたことが発覚したのだ。
スイスで数時間遊んで帰国
ことの起こりは4月26日。午前中の練習と昼食を終えた後、8名の選手は車に分乗し、45分をかけてイタリアとの国境が近いルガーノへ遊びに行った。そして数時間遊んでモンツァに戻ったという。
通常なら何ともない話だが、現在は新型コロナウイルス感染症対策のための各種規制が厳しい状況である。国境は封鎖されてはいないものの、スイスからの入国者は近隣から越境して働いている者を除き、入国後48時間以内のPCR検査と5日間の自宅待機が要請される。
しかし当然、今回それはなく、地元の保健当局は通常よりも厳しい管理体制をクラブに対して敷く予定だと『ガゼッタ・デッロ・スポルト』等の地元紙は報じている。昨年9月のユベントスvsナポリ戦を前にナポリがアウェイ戦の出発を止められ一度は不戦敗扱いとなったことを機に、試合開催の許可や選手の扱いにおいては当局の意見が優先されるようになった。
ボアテンクが含まれる?
モンツァは現在、元ミラン会長のシルビオ・ベルルスコーニ氏と同元ADのアドリアーノ・ガッリアーニ氏らが共同でオーナーを務めている。知らせを聞いたガッリアーニ氏は非常に憤慨し、クラブは係争をしない意思を固めているという。
もっとも、地元紙の報道によれば、地元モンツァの地域保健所は国境を超えてカジノで遊んだ8選手について、少なくとも10日間の自宅謹慎を希望。そうなれば選手8人を欠いた状態で2試合を戦わなければならないばかりか、ややこしいことにアウェイの遠征にも関わってくる。5月1日にはサレルニターナとのアウェイゲームが控えており、地元当局が拒めば試合が延期になるという可能性も浮上した。
サレルニターナのサポーターズグループはモンツァやミラノの地域保健所やモンツァ市役所、また地元サレルノの警察に至るまで各所に書簡を送り、市民の健康を守り、コロナ対策のための規制を遵守させるよう要請したという。
カジノに行った8選手の名前は現在明かされていないが、地元紙では「ケビン・プリンス・ボアテンクが行っていたのが確認された」と報じられている。一方、モンツァには数々のトラブルで知られたあのマリオ・バロテッリが在籍しているが、地元メディアによれば今回はついて行かなかった模様。サポーターからは「よく行かなかったものだ。いいシーズンの締めくくりができるように期待する」と温かいメッセージが寄せられているという。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。