“vs ESL”欧州主要リーグの受け止め方#3_スペイン
4月18日に正式発表されフットボール界に衝撃を与えるも、瞬く間に頓挫するに至った欧州スーパーリーグ(ESL)。世界から注目を集めた新リーグ構想を関係者やファン、メディアはどんなリアクションを見せたのか。“当事者”となった3カ国をはじめ欧州主要7リーグの反応を各国に精通するジャーナリストに伝えてもらう。
第3弾は、首謀者フロレンティーノ・ぺレス会長率いるレアル・マドリーを筆頭に3強が参戦予定だったスペイン。騒動の発信源とあってひと際強い批判の声が挙がった……のかと思えば、その反応は先に紹介したイングランドやイタリアとは少し違っていたようだ。
スペインの反応について述べるにはまず、「無反応」具合について述べないといけない。
イングランドで起きたチェルシーファンによる抗議デモのようなものは、スペインでは何も起きなかった。レアル・マドリーファンについては皆無、バルセロナファンについてはカンプノウ周辺で反ラポルタ会長の落書きが見つかったくらいで、アトレティコ・マドリーについてはファン有志が抗議ビデオを作ったくらい。報道されない小規模なものはあったのだろうが、このSNS全盛の時代にさえそれが知れ渡ることはなく、ましてやトップの意見を覆すような、謝罪をせざるを得ないような巨大なうねりに成長することはなかった。
ESLが頓挫したとすれば、それはイングランドの、特にファンのおかげである。
3強の選手で唯一、自ら発信したのはあの男
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。