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無礼な振る舞いはあった? アタランタ指揮官に資格停止処分の可能性

2021.04.17

 アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が、シーズン終盤に資格停止処分を受ける可能性が浮上した。『ANSA通信』は4月13日、「アンチドーピング検査の際、イタリア・アンチドーピング協会(NADO)の検査員に対して暴言を吐いた」との理由で、同監督に20日間程度の活動停止処分を求刑したと報じた。

選手との接触不可になる可能性も

 ことの起こりは2月7日、NADOの調査員が練習場のジンゴリアを訪れ、抜き打ちのアンチドーピングテストを行おうとしたことだった。ガスペリーニ監督は抜き打ちテストの対象者となった選手が検査のため拘束されることに不快感をあらわにし、調査員ならびに試験の体制について何らかの暴言を浴びせ、さらに検査対象となった選手のことも強制的に練習へ戻そうとしたという。

 調査員から報告を受けたNADOの検察官はガスペリーニ監督の事情聴取を行ったが、地元紙によると、ガスペリーニ監督は事実関係を否定した。従って5月10日に改めて聴聞会を行い、そこで正式な処分が決定される運びとなった。

 NADOが訴えたのは「調査員に対するあらゆる無礼な振る舞いを禁ずる」というイタリア・アンチドーピング規約第3条3項の違反。

 問題は、活動停止処分が科せられた場合、公式戦のベンチに座れなくなるだけでなく、期間中は練習等を含め、競技者との接触が一切できなくなることだ。

 NADOが求めた処分はこれでも軽い方で、規定に沿えば最長で6カ月間にも及ぶ。国内の法曹関係者の間では、20日間の資格停止は短くならないという見解が強く、その場合ガスペリーニ監督はUEFAチャンピオンズリーグ出場権争いに向けて重要なリーグ終盤の数試合や、5月19日のコッパ・イタリア決勝などでチームの指揮が執れなくなる可能性が高まっている。

本人は告訴内容そのものを否定

 もっとも、ガスペリーニ監督は告訴内容そのものを否定しており、処分日数の軽減を狙うことも拒否しているという。『コリエレ・デッラ・セーラ』によれば、同監督は検査対象となった選手が練習できないことに腹を立てはしたが、検査そのものに反対はせず、また妨害なども一切しなかったという。

 さらに、この時に実施された検査では4選手の検体が採取されたが、そのすべてが陰性だった。しかし、それゆえに本人は「暴言を吐いた」という告訴の内容すら受け入れる気もないという。

 同紙は、セビージャに移籍したアレハンドロ・ゴメスとの確執の件なども引き合いに出しながら「監督は頑固で決めたことは曲げず、加えて熱くなりやすい性格でもあるので、サッカーの世界で落ち着きが求められる場面でもことを難しくしてしまう」などと書き立てていた。

 一方、地元紙の中では「検査の数日前に携帯電話番号が外部に漏れ、ラツィオサポーターを名乗る集団から嫌がらせの電話を受けて番号を変えていた経緯があった」と、ガスペリーニ監督がナーバスになっていた状況だったことを伝えたものもあった。


Photo: Getty Images

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アタランタジャン・ピエロ・ガスペリーニ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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