1970年代の革新的な時代を経て、攻撃サッカー、育成、[4-3-3]に固執する「保守的な国」に。一時は停滞していたオランダサッカーの発展だが、多様化を進め、ドイツから学びを得ることにより、再び上昇機運に乗りつつある。[4-3-3]一辺倒だったオランダリーグは、もはや過去の姿だ。
「オランダリーグは、いろいろなタイプのチームと対戦できるから面白いですね」とフローニンゲンの板倉滉が言ったことがある。
「例えばフォルトゥナ。あそこは前線に強いストライカーを2枚置いて、どんどんロングボールを蹴ってくる。『オランダサッカー』と一口で言っても、いろいろありますよね」
かつて、オランダリーグと言えば十中八九[4-3-3]のフォーメーションを採用し、強豪・弱小関係なくポゼッションで優位に立とうとする戦術をとってきた。戦術に造詣の深い西部謙司さんは出張でオランダに来た際「オランダではカンブールのような残留争いをするチームでさえ、GKからのビルドアップを徹底しているんですね」と驚いていた。
しかし今、オランダリーグは多様性の時代を迎えている。その最たるものがフローニンゲンかもしれない。5バックと4バックを使い分けながら、まずは相手をゼロに抑えることを念頭に置いてゲームを組み立てていく。バイス監督はオランダ人らしからぬオーバーコーチング気味の指導者で、声を枯らしながら事細かにポジションを修正する。これほど規律、組織、守備を徹底しながらシーズンを進めていくチームは、オランダではかなり珍しい。……
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中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。