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3月のW杯南米予選は延期が決定。今後の過密日程は必至に

2021.03.08

 3月下旬に開催が予定されていたW杯南米地区予選第5節および第6節の延期が決まった。スペイン、ドイツ、イギリス、フランスといった欧州のクラブの大半が、新型コロナ禍による渡航制限を理由に選手の貸し出しを拒否したためだ。

南米各国への選手派遣は非現実的

 南米サッカー連盟の公式声明によると、延期の理由は「選手たちを適宜にそろえることが不可能であるため」となっている。

 新型コロナウイルス感染拡大防止策として各国が水際対策を強化する中、イギリスやスペイン、ドイツなど欧州の一部では現在、感染危険地域に制定されているブラジル、ペルー、コロンビアから再入国する者に7日間から10日間の隔離措置が義務付けられており、予選で代表に合流した後の隔離期間中はクラブでの試合に出られなくなってしまう。

 そのため、すでにユルゲン・クロップやジョゼップ・グアルディオラらをはじめとする各クラブの監督が「現状では選手派遣はできない」との姿勢を明らかにしていた。

 南米サッカー連盟は、今回の延期決定に至るまでにまず3月5日、FIFAのマティアス・グラフストロム事務局長とオンライン会議を実施。当初はジャンニ・インファンティーノ会長が出席する予定となっていたが、アフリカ出張を終えて機上の人となっていたために実現せず、グラフストロム事務局長が南米10カ国のそれぞれの状況と見解を聞くだけに終わった。

延期分は10月、11月に開催か

 翌3月6日にインファンティーノ会長を交えて再度話し合いの場が設けられたものの、パンデミック下における選手派遣義務の緩和措置は4月末まで継続するため、FIFAからクラブに圧力をかけることはできない。

 アルゼンチンのサッカー専門ニュースサイト『Doble Amarilla』の調べによると、インファンティーノ会長は「6月のコパ・アメリカ開催を遅らせること」と「カタールや米国など感染危険地域に指定されていない国で予選を開催すること」などを含む7つの代替案を提示したという。

 南米10カ国のうち、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドルは「招集可能な選手だけで予定通り試合を行う」ことを主張したが、ブラジルをはじめとするその他の国は延期を提案。結局、多数決で延期が決まったものの、新たな日程については3月7日時点で未定となっている。

 『Doble Amarilla』によると、南米サッカー連盟のアレハンドロ・ドミンゲス会長としてはここでFIFAの提案を受け入れることは組織の弱体化を示すため、コパ・アメリカは予定通りの日程で開催する方針を貫く姿勢を崩さない模様。

 他の大陸で予選を行うプランも現時点では現実性に乏しいため、9月と10月の国際Aマッチデーに今回延期となった節を加えて3節ずつ行うアイディアが検討されている。


Photo: Getty Images

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ジャンニ・インファンティーノ南米予選新型コロナウイルス

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Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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