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クラスター発生のトリノ、試合結果の「未決」処分はどう決着するか

2021.03.06

 レガ・セリエAは3月4日、第25節の結果を受けた処分内容を発表し、トリノが欠場したラツィオvsトリノ戦については「SUB IUDICE(sub judice、ラテン語で「未決」の意)」とした。トリノは新型コロナウイルス感染拡大を理由に、市の地域保健所(ASL)から練習の実施やアウェイ遠征を止められていた。

チーム内にクラスター発生

 原因は2月23日、検査によってトリノの選手7人の新型コロナウイルス感染が判明したことにあった。ASLはイギリス変異種によるクラスターが発生していると断定し、自宅での隔離措置を勧告した。

 その結果、2月26日に予定されていた第24節サッスオーロ戦(ホーム)は延期となり、練習については個人練習のみ許可を出していた。だが、その後の検査でも改善は見られないどころか、最終的には選手8人にスタッフ2人、また関係者家族5人にまで感染者が拡大。その結果、隔離措置はラツィオ戦が予定されていた3月2日の23時59分まで伸ばされた。

 その通達はイタリアサッカー連盟(FIGC)に伝わり、ガブリエレ・グラビーナ会長は「試合の実施が不可能な状況」という理由で延期を認めてもらうよう働きかける方向に動いたという。

 だが、レガ・セリエAに所属する複数のクラブは「ラツィオ戦については急なことではなく、他のクラブも同じ条件で動いている。開催のためのプロトコルは遵守されるべきだ」と反発。最低でも13人いれば試合が可能とするという規定に沿って延期措置は取られず、ラツィオ戦は予定通り“開催”されることとなった。ラツィオの選手たちはスタディオ・オリンピコに赴いた一方でトリノは行くことができず、試合そのものは行われなかった。

ラツィオ反訴の可能性も

 規定通りであればラツィオは3-0のスコアで不戦勝の扱いとなり、トリノにはさらに勝ち点のペナルティが付く。だが、冒頭のように今回は「未決」となり、決断は先延ばしになった。トリノが前もって「今回チームが試合に欠場したのは不可抗力によるものだ」という予備の文書を提出していたからだ。

 第3節ユベントスvsナポリ戦で、やはり地元のASLから遠征の許可が降りず不戦敗扱いとなったナポリが、その後の上告で処分撤回となった経緯がある。前例に沿えば不戦敗を免れるケースであることを見越して、トリノは先に動いたものと推察されている。

 しかし今回は抵抗も予想されている。『コリエレ・デッロ・スポルト』は3月5日、「ラツィオのクラウディオ・ロティート会長が反対の立場に立つ模様だ」と報じた。同紙によれば、ラツィオ側はトリノがASLに急に活動を止められたわけではなかったこと、遠征に送り込もうと思えば感染の拡大していないユースの選手を充当することもできたことなどを理由に反訴を準備し、またトリノvsサッスオーロ戦が延期とされたことも問題視しているという。

 同紙は「3-0のスコアが付けばトリノが抗議し、延期になればラツィオが反訴に動く。いずれにせよ争いになる」と報じている。


Photo: Getty Images

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トリノラツィオ新型コロナウイルス

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神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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