イングランドにまた1つ、アメリカ資本のクラブが誕生した。就任9季目を迎えたショーン・ダイシ監督の下、直近では4季連続でプレミアリーグ残留に成功しているバーンリーだ。昨今の欧州で目立つグローバルなプロフェッショナル投資家によるクラブ買収の背景とは? サポーターの顔を持たないオーナーの登場(創立138年にして初)で残留第一の“弱小”はどう変わり得るのだろうか? 人気ブログ『We gotta put it out somehow, yeah, yeah』の著者で、サッカー界のビジネス、ファイナンスの分野に詳しいszakekovciさんに考察してもらった。
2020年の大晦日、米国の投資ファンド「ALKキャピタル(ALK Capital)」がバーンリーの株式84%を取得し、クラブを傘下に収めた。ALKはスポーツ、メディア、エンタメ領域の企業を対象とした、プライベートエクイティファンドと呼ばれるプロフェッショナル投資家である。ALKの代表であり、新たにクラブ会長に就任するアラン・ペイス(Alan Pace)は、リーマン・ブラザーズとシティグループでキャリアを築いたウォールストリートの住人だ。いっときはMLS(メジャーリーグサッカー)のレアル・ソルトレイクでCEOだったこともある。
「英国一の愛される弱小チーム(Britain’s favourite underdog)」――バーンリーを海外市場に売り込んでいく上でのブランディング方針を、ペイスは一言でこう表現した。ショーン・ダイシ(2012年10月就任)が指揮する泥臭いサッカーでしぶとく生き残ってきたバーンリーだが、新たなオーナーは彼らにどんな影響を与えるのか、その背景も踏まえて考えてみたい。
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Profile
szakekovci (sake)
サッカーに関するビジネス、経営、ファイナンス、そして与太話を書くブログ『We gotta put it out somehow, yeah, yeah』の著者。マンチェスター・シティとスティーヴン・アイルランドのファン。普段は経営コンサルタント。