ミランは1月29日、フェンミニーレ(女子チーム)の新戦力として日本代表MF長谷川唯の獲得を発表した。イタリアの女子1部リーグ・セリエAフェンミニーレでの日本人加入は、サッスオーロDF三橋眞奈に次いで2人目となる。
積極補強の第4弾
2014年のU-17女子W杯の優勝メンバーで、2019年女子W杯のオランダ戦でゴールを決めた世界有数の若手選手の加入とあって、地元メディアの反響も大きかった。
1月30日付の『トゥットスポルト』は「日本人のカンピオネッサ(名選手)はロッソネーリの偉大な野望を確約する存在」と紹介し、「ユイの獲得は水面下で数カ月間に渡って偉大な仕事を進めてきたクラブにとっての栄冠だ」と報じた。
ミランは近年、女子サッカー部門の強化にも力を入れていた。2018年にブレシア・フェンミニーレの権利を獲得することで女子リーグに本格参入し、元々強豪だった同チームを引き継いだミラン・フェンミニーレは初参戦の2018-19シーズンで3位入賞、新型コロナウイルス感染症の影響で打ち切られた昨季も3位と躍進していた。
今シーズンは補強も積極的に行い、イングランド代表FWナターシャ・ドウィに元ドイツ代表のジュリア・シミッチ、そしてスペイン代表MFベロニカ・ボケーテらの有力選手を獲得していたが、長谷川は彼らに続く大物外国人選手の補強第4段となった。
攻撃を牽引する役割を期待
マウリツィオ・ガンツ監督率いるチームは主に3バックシステムを使用しており、長谷川はインサイドMFとしてボケーテやスロベニア代表MFドミニカ・コンクらとポジションを争うか、トップ下としてエースのイタリア代表FWバレンティーナ・ジャチンティと近いエリアで仕事をすることが期待されている。
1月31日にはイタリア・ウィメンズカップ準々決勝のサッスオーロ戦が行われたが、長谷川は招集されなかった。早ければ2月7日に開催されるリーグ戦、サンマリノ・アカデミーがデビュー戦となると見られている。
リーグ戦第12節終了時点、ミランは11勝1敗で2位をキープし、12戦全勝のユベントスを追走している。イタリアサッカー連盟(FIGC)は2015年から男子のプロサッカークラブが女子チームを獲得し運営することを認めており、興業を掘り起こせる新しいカテゴリーとして、各クラブも続々と参入中だ。
2019年女子W杯でイタリア代表は8強にも進出しており、サッカー界を挙げて強化を図っている最中。その中で長谷川がどういう存在感を見せていくのか、注目される。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。