ローマは1月20日、トップチームのチームマネージャーを務めていたジャンルカ・ゴンバールを解雇処分とした。原因は19日のコッパ・イタリア第5回戦のスペツィア戦で、規定を上回る6人目の選手交代を行ったことだった。
延長前半に犯した大失態
延長前半、95分のことだった。DFジャンルカ・マンチーニが2枚目のイエローカードで退場処分となった後、GKパウ・ロペスがゴール前に単独で飛び出した相手FWを倒して一発退場となる。ローマベンチは控えGKのダニエル・フザトの投入を急がせた直後、守備の穴埋めとしてさらにロジェール・イバニェスを交代出場させようとした。
だが、ローマは最大5人までとなっている交代枠を90分間までに4人使っていた。ピッチサイドでパウロ・フォンセカ監督と話していたMFロレンツォ・ペッレグリーニが気づいて「6人目だ、6人目だよ」と呼びかけたものの、イバニェスはそのまま投入される。試合は2-4でローマが敗れたが、規定違反により0-3の敗戦となることが濃厚となった。
コッパ・イタリアにおいては前後半で最大3回の交代(ハーフタイムを除く)に加え、延長戦で1回の交代が認められている。だが、交代できる選手の数はあくまで最大5名だ。ローマにとっては、メンバー登録外の選手を起用して没収試合の処分を下された開幕戦のエラス・ベローナ戦に続いて今季2度目の規定違反。ダン・フリードキン会長は急きょ幹部会議を行い、20日にゴンバールと他フロント1名を解雇処分とした。
チームが動揺、新たな火種も
だが、この決定に動揺したのはチームの選手たちだったようだ。2013年からクラブで働き、2017年からトップチームのスタッフになっていたゴンバールは、選手たちとの親交が厚かったという。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、1月21日のミーティングで主将のエディン・ジェコやペッレグリーニらの主力選手から「これは個人ではなくチームの連帯責任と考えるべきではないのか」という非難と、ゴンバールの復職を求める声が上がって紛糾。フォンセカ監督は午後の練習時間を遅らせざるを得なくなったという。
一方、22日に記者会見に応じたフォンセカ監督は「全員がルールに気づかなければならなかった。ただ、他の国では延長戦に突入した場合、6人目の交代枠が認められていたところもある」と弁明した。
だが、争論から新たな火種もくすぶっている。監督に意見をしたジェコは23日のリーグ戦・スペツィア戦で故障を理由に招集から外れたが、地元紙は「監督、スタッフらとの激しい口論の末に外された」と報じている。
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神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。