ベルギー紙『HLN』が主催する2020年のベルギーリーグアワード「ゴールデンシュー」が1月13日に発表され、ロイヤル・アントワープ所属のイスラエル代表FWリオル・ラファエロフが受賞した。
クルブ・ブルッヘ勢の連続受賞を止める
1954年から始まり、今年で67回目となる「ゴールデンシュー」。2020年にベルギーリーグで最も活躍した選手が、解説者やスポーツジャーナリスト、元受賞者、審判員による投票で選出される。過去にはバンサン・コンパニ、アクセル・ビツェル、トルガン・アザール、デニス・プラートなどが受賞している。
実際のフットボールシーズンと一致しないため、投票は昨シーズン後半と今シーズン序盤の2回に分けて行われる。毎年、ベルギーのテレビ局『VTM』の番組に多くの選手が招待され、華やかに授賞式が行われるが、今年は新型コロナウイルスの影響により、規模を縮小して行われた。
2020年のゴールデンシューは、ラファエロフが271ポイントを獲得。2位のオーストリア代表MFラファエル・ホルツハウザー(ベールスホット)の187ポイント、3位のナイジェリア代表FWポール・オヌアチュ(ヘンク)の86ポイントを大きく引き離して受賞した。
2016年はホセ・イスキエルド、2017年はルート・フォルメル、ここ2年はベルギー代表MFハンス・ファナーケンと、2016年からクルブ・ブルッヘ所属選手が4年連続受賞中だったが、ラファエロフがその記録を止め、アントワープでは1966年のウィルフレッド・ファン・ムーア以来、54年ぶりの快挙を果たした。
ベルギーリーグ10年目で初受賞
現在34歳のラファエロフは、2011年にイスラエルの名門マッカビ・ハイファからクルブ・ブルッヘに移籍。足下のテクニックとキック精度に優れ、主にウイングとして活躍し、2018年までに161試合40ゴールを記録した。
2018年にはアントワープへ移籍し、主にセカンドトップとしてプレー。同じくベテランのDRコンゴ代表FWディウメルシ・ムボカニとのコンビでゴールを量産した。
2020年は、古巣クルブ・ブルッヘとのベルギーカップ決勝で自ら決勝ゴールを決め、アントワープに28年ぶりのタイトルをもたらした。2020-21シーズンも開幕から好調をキープし、6ゴール4アシストと活躍。UEFAヨーロッパカップの第2節では、トッテナム相手に決勝点を挙げてアントワープに大金星をもたらすなど、幾度もなく勝負強さを発揮し、ベルギーリーグ10年目で最も印象に残る活躍を見せていた。
同じくアントワープでプレーする三好康児にとってはポジションを争うライバルであり、ベンチが定位置だった三好は出場機会が限られていた。現在ではイバン・レコ前監督(現上海上港監督)によるシステム変更によって三好は右WBでプレーしており、スムーズな連携でお互いのゴールを演出するなど共存を果たしている。
森岡は14位、伊東は15位
ベルギーリーグでプレーする日本人の中では、シャルルロワの森岡亮太が11ポイントの14位で最高。ヘンクの伊東純也が8ポイントで15位だった。年間を通じて安定したパフォーマンスを見せた森岡の得票数が多く、昨シーズン後半はチームが低調で、今シーズンの投票でもオヌアチュやボンゴンダなどのチームメートと票を分け合った伊東は伸び悩む結果となった。今季レギュラーとして活躍している三好やベールスホットの鈴木武蔵、シント・トロイデンでチーム得点王の鈴木優磨には票が入らなかった。
近年、ベルギーリーグでプレーする日本人選手が増えているが、ゴールデンシューでは2017年に当時ワースラント・ベフェレンでプレーしていた森岡亮太の5位が最高であり、まだまだリーグのトッププレーヤーに名を残せているとは言い難い。今後、日本人がゴールデンシューを受賞する日が来ることを期待したい。
Photos: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。