膝の靱帯の相次ぐ手術で戦列を離れていたローマのイタリア代表MFニコロ・ザニオーロが、新年1月からトリゴリアの練習場でトレーニングを再開できる見通しとなった。地元紙『コリエレ・デッロ・スポルト』が報じた。
立て続けに両膝を負傷……
ザニオーロは1月のユベントスvsローマ戦で右膝を負傷し、前十字靭帯断裂と半月板損傷の重傷を負った。
その後、リハビリを経て7月には実戦復帰を果たし、イタリア代表にも返り咲いたが、同月7日のUEFAネーションズリーグのオランダvsイタリア戦では接触の末に今度は左足を負傷。
検査の結果、左膝前十字靱帯の断裂が判明。今度はオーストリアのインスブルックに赴き、靱帯再建手術の世界的な権威として知られるクリスティアン・フィンク教授の下で13日に手術を受けた。
その後の経過は順調で、同紙によればザニオーロは12月17日にインスブルックで再度検査を行い、その結果も良好。従って1月より、練習場のトリゴリアに戻って復帰のためのトレーニングを開始する運びとなった。
周囲は慎重な姿勢だが……
さて、気になるのはその復帰時期だ。父のイゴールさんは地元メディアに対し「4月には復帰するだろう」と語った。ただ、短期間で両膝の靭帯を断裂するという憂き目に遭ったこともあり、周囲はとても慎重になっているようだ。
執刀したフィンク教授は、今季は諦めて来季からの復帰を目指すように勧めたという。また、ローマも当然の如く故障の再発を恐れており、イタリアサッカー連盟(FIGC)に対して2021年6月からの欧州選手権に招集しないよう要請する意図があると、地元メディアで報じられた。
だが、ロベルト・マンチーニ代表監督にとっては、是が非でもアズーリに再招集したい存在のようだ。衛星テレビ局『スカイ・イタリア』に対し「3月には(靭帯再建手術からの全快期間とされる)6カ月が経っているはずだから、無理は禁物ではあるが、できれば3月後半から始まるW杯予選には呼びたい。EUROは間違いなく大丈夫だろう」と楽観的に語っていた。
ただし無理は禁物。また膝に負担がかかるため、患部以外のところにも故障が出やすいことから、フィンク教授は専用のプロテクターを作成したという。外部から関節にかかる力を分散し、姿勢の急激な変化によって膝を再び痛めないようにするという類のもののようだ。
ともかくトレーニングの再開が見えてきたザニオーロは期待に満ちている。「昔は毎日がパーティーのつもりで過ごしていたけど、故障してからは仕事として取り組んでいる。復帰を心待ちにしている。急がないけど、EUROまでには時間がある」と12月29日付の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューで語った。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。