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不戦敗と勝ち点剥奪から一転、ユベントスvsナポリは再試合が決定

2020.12.24

 12月22日、セリエA第3節ユベントスvsナポリ戦におけるナポリの不戦敗、並びにナポリの勝ち点1剥奪の処分が撤回され、再試合が行われることとなった。

ナポリの立場は正当だった

 さかのぼること10月3日、翌日にアウェイのユベントス戦を控えていたナポリは、新型コロナウイルス感染検査で陽性反応の選手2名が出たことを理由に、トリノへの出発をカンパーニャ州の地域保健所(ASL)によって止められた。

 しかし、イタリアサッカー連盟(FICG)は選手が13人いれば試合を開催できる旨の規則を定めており、同連盟はナポリが試合のできる状況にあったと判断。10月14日に処分を下し、ナポリからの控訴も撥ね退けるばかりか、第2審では「アウェイ遠征に出発しなかったことは故意によるものだった」などと断定した。

 しかし、ナポリはイタリアにおいてスポーツ仲裁の第3段階であるイタリアオリンピック協会(CONI)のスポーツ仲裁機構に対し、再々度となる控訴を行った。そして12月22日の控訴審の結果、訴えが認められることとなった。

 地元紙によれば、同機構の判事は「過去に例のないことで規則の施行そのものが混乱していた。アウェイ遠征に許可を出せるのはASLであり、ナポリに口出しをしたのも義務であった」と出発を止められたクラブの立場を正当なものだと認め、これまでの処分を撤回。一方でFIGCやユベントスは反訴を提出していなかったため、これが最終判断となった。

より明確な基準が必要に

 アウレリオ・デ・ラウレンティス会長は地元メディアの取材に応じ、「イタリアでは規則に従っている者は罪に問われない。そしてナポリはいつも規則を守っていた」と発言。「ナポリでは選手に2人、スタッフに1人の感染者が出ていたから、そのままの状態で行くとトリノでも感染を広げることになりかねなかった。私は選手たちをウイルスの媒介者にするわけにはいかなかったのだ」との立場を語った。

 かくして処分の撤回をもぎ取ったナポリは改めてユベントスと対決することになったが、コロナ禍による過密日程の中で期日の決定は困難とされている。

 だが、このニュースにナポリが喜びに沸く一方で、イタリアのサッカー界には別の影響が及びかねない事態になったことが懸念されている。

 『コリエレ・デッラ・セーラ』は「規則が優先されるのか、それともASLの権限が上回るのか、FIGCは今後、より明確な基準を示さなければならなくなった」と批判的に報じた。一方で同紙によれば、ナポリに規則違反そのものがなかったかどうか、今後も調査が続けられるという。


Photo: Getty Images

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ナポリユベントス新型コロナウイルス

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神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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