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120周年を迎えたラツィオ、クラブ専用カラーの飛行機を導入したが…

2020.11.25

 ラツィオがクラブ専用カラーの航空機を“導入”したことが話題となっている。

 クラブ創立120周年にあたり、クラウディオ・ロティート会長たっての希望で導入に至った。ブルガリアの航空会社『タヤランジェット』所属のボーイング737-300型機を、青と空色のクラブカラーに塗装し、国内外の遠征の際に使用する。

 もっとも、ラツィオが飛行機1機を買い上げてクラブ専用機としたわけではない。彼らが結んだのは15万ユーロ(約1858万円)で飛行機を専用塗装とし、遠征の際には同機を航空会社のハンドリングで利用するという契約だ。

ドルトムントのケースに類似

 『タヤランジェット』はシチリア人の投資家によって起こされた航空会社であり、ソフィアとカターニアを結ぶ路線とイタリア国内便をネットワークに持つ。“ラツィオジェット”は、普段はその旅客便運用につくが、ラツィオが試合などで遠征の時には充当されることになる。

 ちょうどこれは、ドルトムントがドイツの航空会社『ユーロウイングス』と特別機の契約を結んでいたのと似ている。クラブには毎回の遠征でチャーター便を探さなければならない手間が省け、広告効果が期待できるメリットがあるのだという。

 “ラツィオジェット”は晴れてクラブの活動運用に充てられることとなったが、いろいろと騒動もあった。まずはルイス・アルベルトがインスタグラムのストーリー上で「とてもかっこいいけど、クラブ内部のことを省みてくれるのはいつなんだろう?」と飛行機に金をかけたクラブへの批判とも取れるようなメッセージを掲げた(その後クラブに対して謝罪)。

 一方、機材が運用開始から30年近く経っていることから、ローマの空港職員が「この飛行機は修繕だらけだ」などと喋っている動画が出回り、クラブが誹謗中傷による法的措置を検討していると発表するに至った。

前途多難な初フライト

 11月20日、専用機はアウェイのクロトーネ戦での遠征に用いられることとなったが、悪天候によりフライトは大変な揺れに見舞われたのこと。

 FWチーロ・インモービレはクロトーネ戦後、地元メディアに対し「今日の試合より昨日のフライトの方がよっぽど汗をかいた。みんな恐怖を覚えた」と冗談まじりに話した。

 さらに暴風雨のためクロトーネの空港から飛べず、チームは別の航空会社から便を手配した後、100km離れたラメツィア・テルメまで移動して帰らなければならない羽目に陥った。

 初日にアクシデントは多かったものの、イタリアではラツィオが先鞭をつけた「クラブ専用塗装機」というオペレーション自体は他クラブからも注目されているという。

 一般紙『イル・メッサッジェーロ』は、「ラツィオに対抗すべくローマが導入を検討中」と報じた。


Photo: Getty Images

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クラウディオ・ロティートチーロ・インモービレドルトムントラツィオ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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