11月15日に行われたUEFAネーションズリーグ・グループ1のイタリアvsポーランド戦で、ドメニコ・ベラルディが決めた2点目のゴールが話題となった。スポーツ分析会社『OPTA』は、「ベラルディのシュートに到達するまでのパスが30本を数えた」と発表した。
「バルセロナのようなこと」
82分のアクションからだった。アレッサンドロ・フロレンツィがハイボールのこぼれ球をヘディングで跳ね返し、ベラルディに渡したところからスタートする。
右サイドにいたベラルディはドリブルでプレスをかいくぐった後に、左サイドにサイドチェンジ。そこからロレンツォ・インシーニェ、エメルソン・パルミエーリ、そしてマヌエル・ロカテッリが絡んで左サイドで細かくパスを繋ぎ、全体のポゼッションへと波及した。
そして1分30秒ほどボールキープの時間が続いた後、前後左右のパスで揺さぶられたポーランドの守備陣が間延びする。インシーニェがその間にポジションを取ったのを見て、ロカテッリは縦パスを入れた。
前を向いたインシーニェはDFを引き寄せ、右サイドのオープンスペースに飛び出したベラルディへとラストパスを出し、そしてゴール。国営放送『RAI』の実況は「我われがバルセロナのようなことをしている!」と興奮気味に伝えた。
マンチーニ監督との契約延長も視野に
ロベルト・マンチーニ代表監督の下、イタリア代表が培ってきたポゼッション重視のプレースタイルが実ってきた格好だ。
新型コロナウイルス感染で隔離措置が取られた同監督に代わって指揮を執ったアルベリゴ・エバーニ助監督は『RAI』のインタビューに対し「マンチーニが2年間をかけて作り上げてきた攻撃におけるプレー原則が成したもの。練習を通して試してきたが、最終的にそれが実った」と語った。
そしてインシーニェも「監督が僕たちに要求したことを実行できた。2点目のゴールはファンタスティックだった」と喜んだ。
マンチーニ監督とイタリアサッカー連盟(FIGC)との契約は2022年までとなっているが、FIGCはさらに契約を延長する用意があるという。
ガブリエレ・グラビーナ会長は『コリエレ・デッロ・スポルト』に対し「まだ契約満了まで2年間ある。それまでにたくさん時間があるが、我われが進めているプロジェクトの達成にはもっと長い時間を必要とする。彼との会談を持ち、最も良い解決の道を見出したい」と契約延長に向けて意欲を見せた。
現在の年俸は推定で250万ユーロ(約3億1000万円)と見られている。監督に1000万ユーロを超える年俸を提示できるプロクラブの横槍なども今後は予想されるが、現在の改革路線を継続していくために力を尽くせるか、グラビーナ会長らにとっても覚悟が試されている。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。