戦術ブロガーからプロ指導者へ。レネ・マリッチが異色のキャリアを語る
インタビュー:レネ・マリッチ_前編
近年、ユリアン・ナーゲルスマンを筆頭に欧州サッカー界で増えている、選手としてのプロ経験を持たないプロ指導者たち。その代表格の一人にして、戦術ブロガー上がりという異色の経歴で注目を浴びたのがレネ・マリッチだ。現在はボルシアMGでマルコ・ローゼの副官を務める新進気鋭の分析家を直撃したインタビューの前編。
――マリッチさん、今回はインタビューにお答えいただきありがとうございます。
「こんにちは! 敬語は止めてもらえるとありがたいね。僕はまだ若いままでいたいんだ(笑)」
――わかりました(笑)。じゃあ、ここからはざっくばらんにいかせてもらいますね。レネ、まずはこれまでの指導者キャリアについて話を聞かせてほしい。どのように指導者への道を歩んできたのか。どんな決定的な瞬間があったのか。選手時代から指導者的考え方を持っていたんだろうか?
「選手時代はどうだったんだろう? 子どもの頃はそういう感じではなかった。大きくなってからはちょっとずつそうした見方をしていたかもしれないけど。僕は高いレベルのリーグでプレーいたわけではないから、試合中でもじっくり考えられる時間があったからかな(笑)。
指導者になった転機として、僕にとって決定的だったのはやっぱりケガだね。これからどうしようと思ったけど、ずっとサッカーにのめり込んでやってきたというのもあってU-11の指導者を始めることになったんだ。そこからの10年間は、本当にたくさんのことが起きたよ」
――レネと言えば『Spielverlagerung』において興味深い記事をいくつも寄稿していたよね。footballistaでも何度か取り上げさせてもらっているんだけど、どのようにそうした機会とめぐり合ったの?
「育成指導者として活動を開始した頃に『Spielverlagerung』で寄稿し始めたんだ。関係者とは各種SNSを介して知り合い、サッカーに関する様々な視点から情報交換をしていたんだよ。そこから繋がったというわけだ」
――そういえば、レネはトーマス・トゥヘルからもコンタクトを受けたことがあると聞いたんだけど、これは本当? 彼自身の哲学に触れてどう感じた?
「僕が『Spielverlagerung』に寄稿した記事を読んでくれて、意見交換をしたいと思ってくれたんだ。コンタクトはメールでもらって、個人的に一度会って話をした。彼は優れた才能を持つとても優秀な指導者だよ。それはパリでの仕事ぶりを見たらわかるだろう?」
――そしてマルコ・ローゼと出会ったわけだよね? 最初はどんなコンタクトだったの?……
Profile
中野 吉之伴
1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。