再開から3カ月足らずで前半戦を終えたJリーグ。J1クラブは14~19試合、J2クラブは20試合を一気に消化する「超過密日程」を戦い抜くため、各チームが若手を積極登用。例年以上に出場機会を得ている10代の飛躍も見どころの一つとなった。そんなU-19世代の中から、国内のユース世代を取材し続ける川端暁彦氏がベストイレブンを選出。後半戦でも活躍が期待される注目のルーキーたちを紹介してもらった。
コロナ禍+リーグ戦文化の浸透
2001年1月1日以降に生まれた選手——つまり、東京五輪の次に予定されている2024年パリ五輪世代の選手たちが、今季のJリーグで躍動している。
その多くは高卒1年目の選手たちで、中には高校生もいる。この「U-19」年代はトップチームでの出場機会の乏しさがたびたび問題視されてきた年代だが、今季はちょっと違う風景が生まれている。
U-19日本代表を率いる影山雅永監督も「当初想定していた以上に出場機会を得ている」との感触を語るが、実際ピッチに立っている若手選手の絶対数が今季多めなのは間違いない。
最も大きな背景はコロナ禍による過密日程でターンオーバーが日常的に行われるようになったことや交代枠数が「5」に増えていること、さらにリーグ戦から「降格」のリスクが消えたことで、各クラブが思い切ったチャレンジをしやすくなったことが挙げられる。
それ以外の理由を挙げるとすると、育成年代のリーグ戦が定着したことも大きいのではないだろうか。
例えば東福岡高校から今季鹿島アントラーズに加入したMF荒木遼太郎は、昨年も高円宮杯U-18プレミアリーグで、「今週は大阪遠征、来週は広島へ」といった具合にホーム&アウェイ方式で試合をこなすリーグ戦のサイクルを経験してきている。小中学校時代から「リーグ戦のリズム」を知っている選手が増えたことは、Jリーグに素早く適応できる新人選手の養成にも繋がっている。
さて、今回はそんな「今季のJリーグを彩るU-19年代の選手たち」から11名をピックアップして紹介してみたい。なお、どうしても若手が長時間の出場機会を得られているポジションというのは偏りがあり、少々バランスの悪い布陣になっていることはご寛恕いただきたい。
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Profile
川端 暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。