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リバプールの英雄リーセが6年ぶりに現役復帰。PKでゴールも奪う

2023.06.10

 リバプールなどで活躍した元ノルウェー代表DFヨン・アルネ・リーセ(42歳)が現役復帰を果たした。

現役時代の輝かしい実績

 リーセは、母国ノルウェーのオーレスンでキャリアをスタートさせると、フランスのモナコを経て2001年にリバプールに加入。左足から放たれる強烈なロングシュートを武器に、マージーサイドでは公式戦350試合近くも出場して左サイドバックながら31ゴールをマークした。

 “世紀のカムバック”と称えられた2005年のチャンピオンズリーグ決勝でも、ミランに3点を先行されながら後半には反撃の狼煙となるスティーブン・ジェラードのヘディングシュートをお膳立て。PK戦ではシュートを止められてしまったが、それでもフル出場してクラブ5度目の欧州制覇に貢献した。

 その一方で、2007年にはカラオケで歌うことを強要される“カラハラ”で同僚の元ウェールズ代表FWクレイグ・ベラミーと揉め、ゴルフクラブで殴られかけたこともあった(それがベラミーの得点後のゴルフパフォーマンスを生み出した)。そんな騒動もあったが、リバプールではCLのほか、FAカップやリーグカップ制覇など輝かしい実績を残した。

 その後、2008年にリバプールを退団すると、ローマやフルアムなどでプレーしたのち、一度は引退するもインドで現役復帰して短期間だけプレー。そして2017年に正式に現役を退くと、その後は指導者の道へ進んで2021年からはノルウェー女子トップリーグに所属するアバルズネスで監督を務めている。だが今回、選手への未練を断ち切ることができず、6月8日に現役復帰を果たしたのである。

久々の実戦ながらPKで得点も

 リーセが出場したのは、彼が監督を務めるクラブの男子チームの、ノルウェー5部のゲームだ。背番号16を背負い、既にチームが3-0とリードしていた49分から出場。すると73分、ノルウェー代表通算110キャップを誇るリーセは、18年前のCL決勝では失敗していたPKを沈めてネットを揺らしたのである。最終的に復帰戦を9-2の勝利で飾ったリーセだが、久しぶりの実戦で緊張もあったという。

 金色のスパイクで登場した42歳は「試合前には緊張もあったが、ピッチに立ったら試合に入れた。スパイクは昨日買ったのさ」と試合後にノルウェーのメディア『Nettavisen』で語った。そして自身のプレーを振り返り、反省点を口にした。

「酷いPKだった。思い切り蹴り込みたかったが、直前に足を伸ばしてしまっていたのさ。だからコースを狙ったが、それが酷かった。でもGKに止めらなくてよかったよ。止められていたら、明日の練習で女子チームの選手たちに馬鹿にされるからね!」

今後のプレー継続も宣言

 女子チームとの契約を2年延長したばかりのリーセは、今後もプレーを続けると話す。「仕事の合間の楽しみさ。(男子チームの)監督が私の力を認めてくれたらうれしいね。みんなで練習し、ロッカールームで和気あいあいと過ごす。そういったことが恋しかったのさ。ピッチに立って、信じられないほど真剣という感じではなくプレーができる。それが楽しいんだ」

 だが、勝負となれば本気である。今季チームは6試合を終えて首位に立っており、4部昇格も夢ではない。男子チームを率いる監督も「アバルズネスを応援してくれる人にとって彼の出場はうれしいだろうね。そして若い選手にとっても素晴らしいことだと思う」と42歳の元ノルウェー代表プレーヤーに期待している。

 現役時代と比べると、かなり上半身が丸くなったリーセも「夏の間にもっとコンディションを整えて、秋のシーズンに備えたい」と意気込んでいる。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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