2人のベテランが、今季限りでラ・リーガを去ることになった。
ベティスのホアキン・サンチェス(41歳)は4月19日、引退を発表。「体力的には十分やれる」ものの「心の声に耳を傾けた」と言っているが、実質的には「心身ともに一流のレベルを保てなくなった」ということだろう。
ホアキンは引退、何らかの形でクラブに残る
昨季の公式戦36試合出場で2得点4アシストから、今季は25試合で1得点1アシストと成績が低下。3月にナビル・フェキルが負傷し出場機会が増えるかに思われたが、マラガ時代にUEFAチャンピオンズリーグ出場を経験させてくれた恩師であるマヌエル・ペジェグリーニ監督にしても、控えの扱いは変らなかった。
最後の興味はアンドニ・スビサレッタが持つラ・リーガ出場記録622に並ぶか否か?
ホアキンの現在の記録は617で、残り試合も5つ。ケガが治り切らないままベンチで出番を待つ状態だが、チームもCL出場権(9ポイント差)、EL出場権(2ポイント差)を狙っている状態なので、記録達成をサポートする余裕があるかどうか。
引退後は、アンヘル・アロ会長が「クラブに残ってもらう」と断言しているので、アンバサダー的なPR要員になるのではないか。なにせ好感度は(セビージャファン以外には)抜群で、SNSでお家芸のジョークを連発して全国を笑わせている他、全国ネットの民放テレビで冠番組を持ち、CMにも出ている。すでに “コメディアン&タレント・ホアキン”のキャラクターが確立されているのだ。
2年前、コロナ禍中にインタビューした時には「無観客ではなくお客さんの前で引退したい」と言っていた。その夢は6月6日の引退試合で叶うことになる。
ブスケッツは国外で現役続行か
もう1人のセルヒオ・ブスケッツは5月10日にバルセロナを後にすることを発表した。まだ34歳で今季もレギュラー、本人も「バルセロナ以上のクラブはない」と言っているのだが、真相は「契約更改で折り合いが付かなかった」というのが正しいようだ。
ご存知のようにバルセロナは財政危機にあえいでおり、選手たちの総年俸を削減しないと新規契約が認められない状況にある。ガビがいまだにユース契約のままプレーしているのはそのためだ。
6月末で契約が切れるブスケッツにクラブが提示した条件は70%ダウン――つまり年俸が3分の1になる――だと報じられている。いくらクラブ愛があるキャプテンだとしても、呑めるわけがない。
来季の行き先としては、サウジアラビアの3クラブ――クリスティアーノ・ロナウドのいるアル・ナスル、アル・シャバブ、アル・ヒラル――、MLSのインテル・マイアミの名が挙がり、プレミアリーグからオファーを受けたという噂もある。
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。