『フットボリスタ第92号』より掲載
サッカークラブをその歴史と構造的性質によって2つのカテゴリーに分類するのは、ドイツ特有かもしれない。一方はいわゆる伝統クラブ。
これらのクラブのサポーターたちは多くの成功とドラマ、困難な時代を振り返ることができ、クラブの首脳陣は会員たちによって選ばれる。もう一方はいわゆる投資家クラブ。資金源が大企業や裕福な個人で第二次世界大戦後にはまだ存在していなかったか、あるいは下部リーグにいたクラブだ。国内ではホッフェンハイム、レバークーゼン、ボルフスブルク、RBライプツィヒらが属し、多くのファンにサッカーの悪の象徴のように思われている。マンチェスター・シティやパリSGも、資金源が中東でその出処がアンフェアだと感じられるためこのカテゴリーに入る。なにしろ彼らは、最も良い選手=勝利を買うことができる。こうしたクラブが出てきたことでサッカーは変わり、誉れ高き古豪が崩壊する理由とされることも多い。「かなり大きな変化の恐れがある。伝統クラブから、紐つきのレトルトクラブへ」と2014年には『ベルト』紙が危惧していた。
ただ、それを助長するのは伝統クラブ自身でもある。その1年後には『フランクフルター・アルゲマイネ新聞』が「虚栄心が強過ぎ、実力がなさ過ぎ、こだわりが強過ぎて刷新はあまりない。ハンブルク、ハノーファー、ヘルタ・ベルリン、シュツットガルトたちは、もはや自分たちの衰退を止める術を見つけることができない」と指摘。
彼らだけでなくシャルケ、ブレーメン、ケルンも2010年以降に降格を経験している。
次の凋落候補は…
……
Profile
ダニエル テーベライト
1971年生まれ。大学でドイツ文学とスポーツ報道を学び、10年前からサッカージャーナリストに。『フランクフルター・ルントシャウ』、『ベルリナ・ツァイトゥンク』、『シュピーゲル』などで主に執筆。視点はピッチ内に限らず、サッカーの文化的・社会的・経済的な背景にも及ぶ。サッカー界の影を見ながらも、このスポーツへの情熱は変わらない。